映画「怪物」を観に行きました。
是枝裕和監督が坂元裕二氏に脚本を委ねた作品ということで、観る前から自然と期待値も上がりまくりでしたが……
納得の作品でした、ありがとうございます。
ある郊外の街を舞台に生活する人々の、それぞれの視点で描かれる物語です。
食い違う主張、思い込み、守りたいもの……
こういうことって日常で往々にしてあるんだろうなって、ぼんやり考えました。
目次
人によって見えているものと見えないものがある
物語は同じ時間軸を、主に3つの視点で描かれているんです。
これは映画だから、私たちは3つの視点を覗くことができて、それぞれの思いや背景で何が起きていたのかを理解することができる。
でも、現実世界の私たちは、母の視点、教師の視点、こどもの視点、もしくはもっと違う立場の視点。
そのどれかからでしか見ることができないのがほとんどではないかと思います。
目の前の言葉、目の前の出来事、自分の目に映るそれだけが真実のように思いがちだけれど……
間違いなく自分に見えていない事実って、あるんですよね。
見えないものが見えた瞬間ひとの心は揺さぶられる
だから現実の私たちは、なるべくそれぞれが見えていることを出し合って……
擦り合わせながら、お互いを理解したり認めたりすることはあります。
いつでもそれができる状態であればいいですけど……
思いがけないカタチで盲点だったことがわかることもあります。
そのとき「あっ」てなって、湧き上がってくる感情、ありますよね。
恥ずかしさだったり、申し訳なさだったり、嬉しさだったり、悲しみだったり。
その気づきの瞬間があるのって、実は幸運なのかもしれないなとも思うんです。
きっとほとんどのことは、気づかないで過ぎていってしまうんだと思う。
「見えない」ことを抱えながらも生きていくんだと思う
「見えない」ことが悪いんじゃないとも思うんです。
見えてるものって、自分が信じてることだったり、守りたいものが作ってるんだって感じるから……
ある意味偏見だし、視野が狭いというのもわかる。
でも自分が見えていることの外で起きていることが見抜けなかったからといって
「あの人はちゃんと見ようとしていない、ダメなやつ」って決めつけるのが、違うなって思っていて……
見えないことがあるのは、誰でもそうだから……
ただ自分には見えない何かがあることを抱えたり背負ったりしながら、みんな生きるんだと思うんです。
うまく言えないけど。
私が感じた「怪物」って、そこだなあ。
みんなそれぞれの「怪物」を抱えて、生きているんです。
見えない「怪物」を見にいく映画です。おすすめです。
そんなことを思ったこの映画「怪物」ですが……
映像も、音楽も美しく、なにより子役さんの瑞々しい演技がすばらしかった。
今月から映画館の鑑賞料がまた値上げしたと思いますけど、ぜひ劇場で観てほしいと思う一作です。
今日はここまで。
すてきな1日になりますように〜!