年末にTVerを覗くと、長瀬智也さんが主演の宮藤官九郎さん脚本作品がたくさん配信されていました。
今日、TBS系でこの2人の新しいテレビドラマ作品「俺の家の話」が始まるということで、その関係での配信だったのでしょう。
今夜の放送がとても楽しみです。
さて、TVerでたくさん配信されていた「クドカン×長瀬智也」作品。
どの作品も夢中になって観たテレビドラマですが、私が特に注目したのは……
TBS系ドラマ「タイガー&ドラゴン」
実はこの作品、オンエア当時は自分の琴線にあんまり触れなかったのですが……
今回改めて見返してみたらどハマり。
あまりの面白さに電子書籍でシナリオ本を購入して読み込んでいるくらいです。
なぜ今、こんなに「タイガー&ドラゴン」が響くのか。
この作品の魅力をお伝えします〜。
目次
TBS系ドラマ「タイガー&ドラゴン」とは
「タイガー&ドラゴン」は2005年1月に単発ドラマとしてTBS系で放送。
その後、同年4月から同局で金曜日に連続ドラマとして放送が開始されました。
主演は長瀬智也さん。
脚本は宮藤官九郎さん。
あらすじ
「落語」と「ヤクザ」というありえない組み合わせから広がる傑作ドラマです〜。
あらすじ
ヤクザの山崎虎児は、幼い頃、借金苦で両親に目の前で先立たれ、以来笑ったことがない。
虎児は借金の取り立て相手の噺家、林屋亭どん兵衛の高座を聞いて感動、ヤクザから足を洗い噺家の弟子入りをすると決める。
虎児は噺を一つ覚えるごとにどん兵衛へ「授業料」を支払う。
その「授業料」でどん兵衛は借金400万円を返済していくという計画。
どん兵衛の借金が完済されるまでは、虎児はヤクザから足を洗えない。
虎児はどん兵衛から「林屋亭小虎」という名をもらい落語家として高座に上がるが、うまくいかない。
そんな時、かつて落語の天才と呼ばれ、今は裏原宿のダサい洋服屋「ドラゴンソーダ」を営む谷中竜二と出会う。
主要登場人物
- 山崎 虎児 高座名は「林屋亭小虎」噺家とヤクザの二足のわらじを履く
- 谷中 竜二 「林屋亭小竜」として活動していたが廃業、洋服店を営んでいる
- 林屋亭どん兵衛 大御所の噺家、虎児の組に借金をしている
「タイガー&ドラゴン」グッとくる名セリフ
「タイガー&ドラゴン」の怒涛のストーリー展開には主に笑いあり!
ときどき涙あり。
とくにグッときた場面を、セリフからたどってみました。
自分の言葉に責任持て
連続ドラマの第3話「茶の湯の回」の、山崎虎児のセリフです。
若者のカリスマ的存在「BOSS片岡」の目にとまり、谷中竜二のデザインでリストバンドを作るようになりました。
結局、竜二のデザインは採用されず、彼に黙って他のデザイナーのデザインでリストバンドは作られてしまいます。
リストバンドを使用するイベントの当日、片岡に詰め寄った虎児。
虎児「お前等が軽々しく『来てる』だの『終わってる』だの言うたんびに一喜一憂してるヤツがいるんだよ、何故だか分かるか? 必死だからだよ、必死にどーにかなりてえ、カッコいいもん作りてえ、面白えもん作りてえって身体すり減らしてやってるからだよ、分かるか? 自分の言葉に責任持て」
タイガー&ドラゴン 完全版 上(角川文庫)
「キテル」「ヤバイ」だけで自分の意見を言わない片岡の必死さのなさが際立つ、虎児の言葉。
熱いセリフにグッとくると同時に「自分の中の片岡」がいないかちょっと考えてしまいました。
俺みてえになりてえなんて言うな
元々は単発ドラマ「三枚起請の回」の場面のこと。
落語を始めたばかりの虎児は、イマイチ古典がよくわからない。
そんな虎児に「予備知識がないと笑えない、それが古典のいいところだ」と諭しながらも「あんたはあんたの『三枚起請』をやればいい」と、どん兵衛。
時は過ぎ、第6話「明烏の回」で、虎児の舎弟、銀次郎の失敗から虎児が語ったのは当時のどん兵衛の教え。
最初は真意がわからなかった虎児も、今はその教えの意味がわかると言います。
虎児「スタイルなんかどうでもいいんじゃねえ? 古典だって初めてやったヤツは、それが古典になるとは思ってなかっただろうし、初めて『東京湾に沈めんぞ!』つったヤクザも、その後みんなが東京湾東京湾言うとは思ってなかっただろうし……あれ? なんの話だっけ?」
銀次郎「俺は俺の道を行けって事ですか?」
虎児「あーそうそう、俺みてえになりてえなんて言うな、俺はもういるんだから」
タイガー&ドラゴン 完全版 下(角川文庫)
柄にもないことをするな、という意味でどん兵衛の言葉をとらえた虎児。
「早く兄貴みたいになりたい」と言った舎弟に、自分なりのヤクザを目指すことを教えました。
笑いのセンスが何かもわからなかった虎児の成長をすごく感じたシーンでした。
俺も分かるよ、あん時のあんたの気持ち
どん兵衛に破門され、落語の道を絶った谷中竜二。
竜二の落語の才能を認めていた虎児は、何度も竜二に噺家に戻るようお願いをしていました。
最終話「子は鎹の回」では、ある事情で落語の道を避けていた虎児に、竜二が声をかけます。
竜二「俺がやめてた時、あんた何かっつーと落語やれ落語やれって言ったでしょ、あん時の俺の気持ち、あんた今すげえ分かる筈だよ、ウゼエんだよ、やりてえと思ってる事、他人からやれって言われんの、すげえウゼエんだよ」
虎児「……」
竜二「俺も分かるよ、あん時のあんたの気持ち」
タイガー&ドラゴン 完全版 下(角川文庫)
「落語やれ」って言われている時の気持ちと「落語やれ」って言っている時の気持ち……
私もすんごくわかるよ〜!
2人とも落語をやりたがっているってわかっているし、だからこそ本気で戻ってきてほしいとも思うし。
「タイガー&ドラゴン」の描く「家族意識」だったり「仲間意識」もグッと伝わってくる、名シーンです。
虎児といっしょに救われる、あったかい気持ちになれるドラマ
両親に先立たれ、ヤクザになるしか道がなかった虎児。
そんな虎児がどん兵衛に弟子入りし、兄弟子たちともいっしょに暮らし……
たくさんの仲間達の中で変化していく様子が、すごく救われていく気持ちになります。
ドラマ作品自体はたくさんの人の中で起こるガヤガヤドタバタと笑える内容です。
ちょっと落語に興味持っちゃったもんね。
なんで大学時代、落研に入部しなかったんだろ〜!
今からでも落語習得できるかな〜なんて。
「俺の家の話」にも注目しています
今夜始まるTBS系金曜ドラマ「俺の家の話」は、チーフプロデューサーに磯山晶さんを迎え……
脚本家に宮藤官九郎さん、主演に長瀬智也さんと「タイガー&ドラゴン」の黄金チームで組まれています。
かつての人気レスラーが、父親の危篤を知らされ、実家に帰る……
そしてプロレスラーを引退し、父親の介護を手伝うことに……
ん〜、どんなストーリーが展開されるのでしょうか!
今日は早く帰って、テレビの前で待機ですよ〜。
それでは、今日も元気にいってらっしゃい!