50代くらいの男性のお客様。
空になった日焼け止めを持ってきて、同じ商品をお探しのようでした。
売場へご案内し、商品を差し出すと今度は「これよりいいやつある?」という言葉。
お話を伺うことにしました。
目次
「高価格帯の商品をすすめる」のには理由がある
お客様は、休日になるとよくゴルフに出かけるそうでした。
「だからすぐに日に焼けて困るから、日焼け止めを塗るんだけど、いちばんおすすめはどれになるの」
日焼け止めを塗っているけれど、その商品の効果に満足していないととれました。
なので、私は「でしたらこれがいいかと思います」と、大手化粧品メーカーが発売している高価格帯の商品を差し出しました。
すると、お客様の表情は一変。
「こんなに高い商品をおすすめするのは、さぞや店員さんは普段から高級な日焼け止めを使っているんでしょうね」
「私はこの商品は使いませんよ、そうですね、こちらを使用しています」
お客様から言われた私は、毎日使用している別の日焼け止めを提示しました。
「でも、こちらはお客様へのおすすめではありません。なぜなら……」
私とお客様では商品を使用するシチュエーションがちがう
休日のゴルフで長時間日に晒されて日焼けに困っているお客様と比べ……
- 仕事はずっと屋内で日が暮れるまで外に出ない
- 休日も積極的に外に出るわけでなく屋内で過ごすことが多い
- でも日焼け対策のために雨の日も曇りの日も日焼け止めを塗る
という私とは状況がちがいますから、選ぶ商品も変わります。
「お客様と同じように、外に出てレジャーを楽しむ知人が、いろんな商品を使い比べて一際効果を感じたという商品がそちらになります。海水浴へ行くけど日焼けはしたくないという人が選ぶ日焼け止めになりますから、長時間ゴルフを楽しまれるお客様に合っていると考えました」
あとは、使用感がより近いものがいいかと思って……
持参された日焼け止めがジェルタイプだったので、中でも同じジェルの日焼け止めを選びました。
「値段が高いからいい、と言っているのではないのです。もとよりご予算がある場合は、それに合わせて選び直させていただきます」
「高価格帯の商品をすすめない」のにも理由がある
そう「値段が高い=いいもの」という考えはとくになくて……
わかりやすいところだと、目薬があります。
目薬売場へ疲れ目の目薬を探すだけでも、ピンキリの価格のものが並んでいます。
価格の高いものはなぜ高いのか。
それは簡単にいえば、成分の配合量や種類が多くなればなるほど値段が膨れているということです。
その人に必要のない機能や効果をわざわざ売る必要はない
「疲れ目の症状だけを解消したいのに、かゆみ止めや充血を解消する成分はいりませんよね」
逆に、疲れ目を解消したいけど、白目をきれいに見せたいし、かゆくなっても効くオールマイティな目薬がほしい!
という人には、高価格帯の目薬をすすめることもあるかもしれませんが……
その人の症状をよく聞いて、それに合った最低限の成分が入っているのを選ぶのが、いい選択と考えています。
基準は価格ではない、目的に合った商品を選んでいるだけ
だから私は、お客様から予算を聞くことはあっても、値段だけで商品をおすすめすることは基本的にありません。
まずはお客様の症状、使用する状況、ニーズなど……
「その人」を見て、いちばん合いそうな商品を選ぶ。
それがたまたま高価格な商品になることもあるよ〜という話でした。
ぶっちゃけ、高いものだけが、利益になる商品ではありませんからね……
「高いもの売りつけられた!」とばかり思われない接客がしたいですね。
それでは、きょうも元気にいってらっしゃい〜!