50代くらいの女性のお客様。
頭痛薬を飲んでも効かない、何かちがう薬を飲みたいと、来店されました。
目次
症状の発生と経過をきいてみた
「頭はいつから痛いんですか」
「今朝目が覚めたときからずっとです。だるさもあって、風邪かなと思って、熱を計ったら微熱があって」
今朝の体温は37.1度。
咳や鼻水など、他の風邪の症状は見られず、頭痛とだるさ、そして熱がある状態です。
お客様は、新型ウイルスの心配もされていますが……
この時点でなんとなく、あることの可能性を感じていたので、もう少しお話を聞くことにしました。
症状が起きた時の状況をきいてみた
直近の過ごし方が知りたいと思い、日頃は自宅で過ごされているかを尋ねると、そうとお客様。
「とくにこのご時世だから外出も控えてますね」
「なるほど、ちなみに最近暑いですが、おうちクーラーつけてますか」
「いいえ、今年はまだ。日中は扇風機を回して過ごしています」
寝るときはどうされているのかを尋ねると、やはり扇風機のみ。
1階が寝室なので、防犯のために窓は閉めていると言います。
「暑くないですか。ちなみに今朝、汗はかいていませんでしたか」
「私汗っかきで、今朝もシャワーを浴びたくらいびしょびしょになって目が覚めたんだけど」
「んー、水分はとってらっしゃいますか」
「一応汗もかいてるから、最近はスポーツドリンクを飲んだりもしているんですけど」
うーん。
もしかしてと思って聞いてきましたが……
もしかして熱中症じゃないかという考え
「もしかしたら、お客様それ熱中症じゃないかなって思うんですよね」
と、お客様に伝え、3つの提案をしました。
- 解熱鎮痛薬を飲むのをやめること
- 水分補給を経口補水液に切り替えること
- 首やわきの下を冷やしたりして熱を冷ますこと
解熱鎮痛薬を飲むのをやめること
「熱中症で脱水していると、腎障害が出やすいんですよ」
そこで解熱鎮痛薬を飲んでしまうと……
腎臓の血管を収縮させる作用があるため、腎臓の血流量が減ります。
すると、「腎虚血」になって腎臓にダメージを与えてしまうのです。
「なので、熱中症の疑いがあるときの頭痛は、痛み止めを飲まない方がいいのです」
「でも、とにかく頭が痛いんです。どうすれば……」
ということで、次の提案になります。
水分補給を経口補水液に切り替えること
吐きっぽくないかだけ尋ねると、吐き気はないようだったので、経口補水液を数本持ってお客様にお渡ししました。
「健康な状態ならスポーツドリンクでもいいんですけど、脱水症状が見られるのであれば、経口補水液の方が水分とミネラルの補給には優れていますよ。水分の吸収速度がちがいます」
胃が1回で吸収できる水分量は限られているので、健康な人がスポーツドリンクを飲むようにがぶがぶ摂取はせず、少しずつ飲むようにすすめました。
経口補水液とスポーツドリンクのちがいをまとめた記事もあります。
首やわきの下を冷やしたりして熱を冷ますこと
「あとは、体を冷やすようにしてください。無理はなさらず、お部屋のエアコンも付けてくださいね」
からだを冷やす対策としては、
- ベルトやネクタイ、下着などしめつけるものはゆるめる
- 肌に冷水をかけたり風を送って熱を冷ます
- 氷嚢など冷却グッズで首やわきの下、ふともものつけ根などを冷やす
などが効果的とされます。
「熱中症はひどくなると急に動けなくなることもありますから、よく注意して、あまりにも具合が悪くなるようなら救急車も呼んでくださいね」
「わかりました、ありがとうございます」
と、経口補水液を数本抱えて、お客様は帰られました。
数日後に再来店されたお客様
数日後、お客様に話しかけられたので、経過をうかがうことができました。
「あのあとすぐに、この飲み物を少しずつ飲んでみたの。そしたらそれまでずーっと続いていた頭痛がすっかりなくなったんですよ~」
「本当ですか。よかったですねえ」
「やっぱり熱中症だったのね。まだちょっと不安だし、今後もしものためにと思って、また買いに来たんですよ」
「そうですね、熱中症は症状が出てからしばらくはなりやすいんで、お客様のおっしゃるように、警戒していた方がいいですよ」
まだ本調子とはいかないながらも、お客様は快復に向かっている様子でした。
よかった~。
こうして、自分が提案したあとの経過が知れるのは、本当にありがたいことです。
勉強させていただいています。
その頭痛薬飲む前に熱中症を疑ってみて
暑い時期の頭痛は要注意!
熱中症における「頭痛」は、中度の重症度に分類され、なかなか油断できません。
症状がすすむと、40度以上の高熱が出たり、意識障害や、異常行動も見られるようになり大変危険です。
日頃から水分や塩分の補給はこまめに行って、なるべく涼しい場所で行動しましょう。
働くみなさんも、体調には十分に気をつけてくださいね。
それでは、今日も元気にいってらっしゃい~。