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医薬品 接客

インフルエンザに〇〇? 漢方薬の選び方

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「すみません、ちょっといいですか」

と、声をかけてきたのは40代くらいの女性のお客様。
手には錠剤と細粒の麻黄湯をそれぞれお持ちです。

「これとこれ、どっちが早く効きますか」
「どちらも麻黄湯ですね。人によってはお薬が早く溶ける方が、体内への浸透も早く効き目が出やすいという方もいらっしゃいますね。なので、錠剤よりは粉、粉より液体、という感じでしょうか。でも、そんなには変わらないと思いますよ」
「そうなんですね」
「どちらも同じ漢方薬ですから、成分の違いもありません。あとは飲まれる方がどちらの方が飲みやすいかで選ばれるのがいいと思います。固形のものが飲みにくい方であれば、細粒がいいですし、粉の苦みが苦手な方であれば、錠剤の方がよろしいかと」
「息子なんですけど、それなら錠剤の方がいいのかな……さっき部活から帰ってきて、熱が高くなってきているのと、体が痛いというんです。インフルエンザじゃないかと思って」
「ああ、それで、麻黄湯を」

息子さんは14歳。
インフルエンザの予防接種はしていないといいます。

帰宅後発熱と体の節々の痛みを訴え、ぼーっとしてだるいという。
出先にいたお客様が帰りの道中くすりを買いに店に訪れた様子でした。

「主人に相談したらインフルエンザにはこの薬がいいと教えてもらって買いに来たのです」
「そうですか。たしかに病院でもインフルエンザの症状に、麻黄湯を処方される先生はいらっしゃいます」

現に私がインフルエンザ流行時に似た症状で病院にかかった際に出されたくすりは麻黄湯でした。
検査は陰性でしたが、症状の悪化を防ぐために処方されたのだったと思います。

「でも、麻黄湯は決してインフルエンザの治療薬ではありませんからね。あくまでそういった症状が出ているのを和らげるお薬ですから、インフルエンザが疑われる場合には、早めに病院で検査を受けて、陽性ならタミフルやイナビルなどの治療薬を処方してもらうのが治癒への近道かと」
「明日の朝には病院へ受診させるつもりです。それまでつらそうなので何か飲めるくすりがあればそれで様子を見たいのですが」
「そうですか。お子さま他に何か症状を訴えていらっしゃるものはないですか。寒気がするとかは」
「寒気も少しするみたいです」
「汗かきとかではないですか。運動すれば汗が流れる程度ではなく、普段から汗が流れてくるほどの汗かきとかでは」
「日頃運動しているので汗はよくかくのですけれど、ひどい汗かきとかではないと思います」
「麻黄湯は体を温める漢方薬ですから、服用すると汗をかきます。あまりにも汗かきな人が飲むと、汗をかきすぎて逆に体力消耗しちゃうんでね。あまりおすすめはしないのですよ」
「そうなんですね」
「寒気がするということなので、試しに飲んでみる価値はあるかと思いますが、あまりにも症状が悪化してくるようなら救急でもなんでも、病院で診てもらうようにしてくださいね。インフルエンザのお薬にはタイムリミットもありますから」

試しに飲ませて様子を見ます、とお客様。
錠剤の麻黄湯を手にレジへと向かっていきました。

漢方薬は服用しようとする人の体質や起きている症状やタイミングなど……
いろいろな条件が合ってこそ効果を発揮するお薬だと思っています。

なのでよくある「風邪には葛根湯」「花粉症には小青竜湯」といった選び方というのは、ふつうしないのです。

「インフルエンザには麻黄湯」という選び方も……
寒気がして汗をかかない人にはすすめますが……

ただ熱が高いだけで寒気もなく自然に汗をかくような人、体力が消耗しているような人には使用させません。

なので漢方薬の特徴というのは、私もほんの簡単な部分しかまだ覚えられていません。
せめてお店に並ぶだけのすべての漢方薬が、どんな人に向いていてどういう効果を発揮するのか……
網羅できるようになれたらいいなと思うのであります。

今日もお客様にとっていい選択ができますように。

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