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居てよしッ! と包みこむ木皿泉「すいか」の世界

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新型ウイルスの影響で外出自粛の状態が続き、暇を持て余している人も多いことと思います。
こんなときこそ、読書でもして一冊でも多くの積読を減らすのも、ひとつの過ごし方と思います。

積読ではないのですが、最近改めて読み返していた本があります。

木皿泉「すいか」

私は自分が好きだったのと、学生時代の専攻の関係もあり、読書としてテレビドラマのシナリオ本や、ノベライズ本を購入することがあります。
(初めて読んだシナリオは中学の図書室にあった倉本聰の「北の国から」でした)

中でもこの木皿泉さん脚本の「すいか」は、大好きなテレビドラマで、何度もまた観たい衝動に駆られてレンタルショップに駆け込んでDVDを借りています。

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いっそDVD買ってしまっていた方が安かったのではと思います。

そんな大好きな作品のシナリオを読むと、また新しい気づきもあります。
今日は、この「すいか」という作品について書いてみたいと思います。

木皿泉「すいか」とは

「すいか」は2003年7月から、日本テレビの土曜日に放送されていた連続ドラマです。
主演は小林聡美さん。
脚本は木皿泉さん(と、山田あかねさん)です。

あらすじ

主な舞台は東京・三軒茶屋の下宿「ハピネス三茶」です。

あらすじ

34歳の独身、実家暮らしの信用金庫OL・早川基子は、親や仕事、自分自身を思い煮詰まっていた。


似たような毎日が続く中、同僚の馬場チャンが三億円を横領して逃亡するという非日常が舞い降りる。
激動の一日で、基子は吸い込まれるようにして、三軒茶屋の下宿・ハピネス三茶を訪れ、一人暮らしを始めることに。


エロ漫画家の絆、大家のゆか、大学教授の夏子とともに、新しい日常を過ごしていく中で、それぞれのトラウマやコンプレックスに変化が訪れる。

主要登場人物

  • 早川 基子(三四) 信用金庫OL、同僚・馬場の横領を機に一人暮らし開始
  • 亀山 絆 (二七) エロ漫画家、双子の姉の死を引きずる
  • 芝本 ゆか(二〇) ハピネス三茶の大家、幼い頃に母親に出ていかれる
  • 崎谷 夏子(不詳) 大学教授、女学生時代からハピネス三茶に住む
  • 馬場万里子(三四) 基子の同僚、三億円を横領し、逃走を続ける

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木皿泉「すいか」の魅力と気づき

この作品に出会った頃の私の感想といえば
「私もハピネス三茶に住みたいなあ。こんなところがあればいいなあ」
という感じでした。

なぜならハピネス三茶の人たちは、ぜったいに人を否定しないから。

いろんなことに煮詰まって、
「――私みたいな者も、居ていいんでしょうか?」
と言う基子に対する、夏子の力強い
「(ジッと見て)居てよしッ!」
という一言は、私自身にも強く深く突き刺さるほどでした。

今この作品に改めて触れて、ハピネス三茶がすてきなことには変わりませんが……
自分自身が早川基子の年齢に近づくにつれて、感じるものが増えてきたように思います。

「死」は終わり、生きることで変わることができる

第6話、30年前のその日、かつての恋人、リチャードが病気で亡くなるときに、迎えに来ると約束をしたという夏子。
突風となって現れた? リチャードへ、約束だから、連れてってという言葉とともに、夏子が語るセリフがあります。

夏子「でもね、リチャード。生きている人間は、とどまっては、いられないのです。死んだ人間みたいに、ずっと、とどまってはいられないの」

中略

夏子「人は変わるものなの。あなたが死んだ時、私は、この世は終わったと思ったわ。でも、終わらなかったの」

中略

夏子「私は、三〇年間、楽しかった。話したり、食べたり、飲んだり、読んだり、笑ったり、嘘ついたり、泣いたり、励ましたり、励まされたり――生きてる事が嬉しかった。ごめんなさい。私、変わってしまったの――」

「死」=終わり、ととらえられるような表現が、この作品のいたるところにちりばめられています。
ノストラダムスの大予言のハルマゲドンによって地球が滅亡することで「みんな」なくなってしまう。
カレーの匂いさえも……そんなことを言う場面から、この物語は始まります。

でも、地球は滅亡しなかったし、カレーの匂いも残ったまま。
教授はリチャードが死んだ30年の間に、生きることができました。
その間に考えることも感じることも変わっていくことができたのです。

死んだら終わりだけど、生きている限り何度でも変われるし、その変化は肯定されるものだという、勇気をもらえるような気がしました。

何でもない日常こそ幸せであるという気づき

ゆか(声)「生きている幸せを、見ることが出来るのは、そこから遠く離れた人だけなのかもしれません」

上のセリフは、同じく第6話。
基子が持って帰ってきた、馬場チャンからの「うまい米」を炊いてにぎったおにぎりを、おなかいっぱい食べたあとの、ゆかのセリフです。

ドラマ最終話の第10話では、基子と馬場チャンが再会。
川原でふたりが座りながら語る場面がありますが、そこで話す馬場チャンの思いを読んだとき、さっきのゆかの言葉の意味を強く感じます。

人生、代り映えなくて、わかりきっているとさえ思いがちですが、一寸先は闇、何が起こるかわからないと繰り返す、夏子のセリフも重みがあります。
ぜひ9話もじっくりと読んでいただきたいです。

独特なセリフの書き方にも注目

シナリオはドラマの設計図です。

シーンの舞台を表す「柱」
人物の発する言葉を表す「セリフ」
行動や描写を表す「ト書き」

で基本的には構成されています。

木皿泉さんのこの「すいか」のセリフの書き方には、特徴があります。
それは、セリフの中に括弧書きで、ト書きのようなものが書いてあるところです!
この括弧の中に書いてあるト書きが人物をより生き生きとさせていて面白いです。

解説の中でも出されているのですが、第3話の馬場チャンのセリフ

「(突然、飴を押し込まれて、笑ったような、泣いたような、驚いたような。まだ人から何か貰えるとは!)」

は、本当に秀逸で、本当に自分が感じたかのように、馬場チャンの気持ちが伝わってくる、すてきなセリフ(ト書き)だと感じました。

自分の存在を肯定できない、けど認めてあげたいそんな人へ

基子な気もちで今はこの作品に触れている私ですが、夏子な自分で触れたときにはまた感じ方が変わっているんだろうなと思います。
この先もずっとこの作品を読んだり観たりして、自分もまだまだここにいていいんだな、と認めてあげようと思います。
変化を恐れず、生きていることを日々楽しんでいけたらいいですね。

自宅にこもって鬱屈としているあなたへ。
この本を読んで、ハピネス三茶のみんなとまったく新しい日常を踏み出しましょ!

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それでは、今日も元気にいってらっしゃい!

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