50代くらいの女性のお客様が、うがい薬を持って尋ねられました。
「これとこれって、どちらも同じようなものですよね」
目次
うがい薬の選択にお悩みの理由
手にしていたのは2つのうがい薬。
ポビドンヨードのうがい薬と、セチルピリジニウムのうがい薬でした。
お客様はふだん、指定医薬部外品のセチルピリジニウムの商品をお使いのようです。
「いつもはこっちの大きいサイズのものを使っているんですけど、売場になくて……こっちの有名なうがい薬と同じだったら、サイズが大きいからこっちを買った方が得かな、と思ったんだけど」
お客様にはふたつの商品は「別物」であることを説明しました。
「どちらも殺菌消毒をしてくれるお薬ですが、成分がちがいますね。確認ですが、お客様はいま、のどの痛みを感じていらっしゃいますか」
うがい薬のちがいと選択で重要なのは使用目的
お話をうかがうと、どうやら今現在のどに痛みのような違和感を感じている様子のお客様。
今のところ熱やせきはなく、ただ自分で「これから風邪になるのでは」という予感があるといいます。
「うがい薬をお求めになる理由で、実は選ぶべき成分も変わってくるのですよ」
と、売場をご案内し、もうひとつ「アズレン」のうがい薬とのちがいも交えて説明しました。
殺菌消毒薬
「お客様がいま両方とられている商品は、殺菌消毒薬になります。日頃の風邪やインフルエンザの感染を予防するには、これらのお薬を選ばれるといいです」
ポビドンヨード
有名なうがい薬の主成分で、殺菌作用があります。
使用に注意する点があり
- 妊娠・授乳中の人には禁忌である
- ヨウ素誘発性の甲状腺機能低下症をおこすリスクがある
日頃から使用し続けている人には、過度な使用を控えるように呼びかけることも。
セチルピリジニウム
せき止めのお薬やスプレー剤、飴やトローチなどの商品にも使用されます。
とくに目立って注意することの報告もありませんが、どちらかというと口臭予防や口内炎に対する効果の方が報告されているようす。
消炎薬
「すでにのどが炎症していて痛い、と感じている場合は、消炎薬のアズレンをおすすめしています」
アズレン
医療用では「アズノールうがい液」と同じ成分。
口の中の炎症による、痛みを減らす効果があるとしています。
「いつも使わないくすりは効くか不安」
すでにのどに痛みを感じている様子から、最後のアズレンを含んだうがい薬やスプレーを使われることをすすめました。
聞きなれないくすりのようでしたが「ためしに使ってみる」と、商品を持って売場を離れたお客様。
しばらくすると、戻ってこられ「やっぱりよく知らないくすりを使うのは……」とためらわれました。
「そうですね……こういうのもなんですけれど、お薬って、効くと思ったくすりが、一番効くんじゃないかと思うんですよね」
ふだんお客様が使われているお薬が、同じような状況で使用して「効いた!」ということがあるのであれば、それを信じてみるのもありだと提案。
消炎剤ではないけれど、お薬の中にはグリチルリチン酸二カリウムも配合されていたため、まったく炎症に効果がないともいえないことも説明しました。
もちろん、のどが痛いときにはアズレンというお薬を使うのは効果的だと思って、提案はさせていただいています。
「ただ、お薬の成分と体には相性もあるので、同じ状況に同じ成分を摂取しても、人によって効果にばらつきが出るのはそのためです。お客様にとっては、ふだんのお薬が相性がいいのかもしれませんね」
という私の言葉を聞いたのち、お客様はいつものお薬を使われることを決めました。
お客様の気持ちを汲みつつ新しい情報を届けたい
「何度もすみませんでした。せっかくいろいろ教えてくれたのに」
「いいえ、お客様に情報を提供するのは私の役目なので。またわからないことがあればご相談ください」
お客様の不安をぬぐえなかったのは残念でした。
でも、いちばんはお客様が納得して、お薬の選択をしていただけることです。
お客様の知らないことを伝えて差し上げるのも大切な仕事。
だけど、押し付けにならず、お客様の思いを汲んで、一番いい提案ができるのがいいかな~と思いました。
今日もお客様にとっていい提案ができますように。
それでは素敵な一日をすごしましょ~。