今の会社へ勤めていて手書きポップを書くのはどの店舗へ異動しても私の担当に。
最初の店舗で書いた時から人づてに靉はポップが書けるという話が渡っているようでした。
いろんなポップを書いてきましたが、実はドラッグストアでポップを書くのはけっこう難しいのです。
なぜかと言うと、医薬品などの広告表現には色々と制約があるからなのです。
医薬品等適正広告基準というルール
それは何で決まっているかというと、
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、薬機法とします)における医薬品等適正広告基準という部分です。
効果効能の安全性を保証するような表現をしたり、不安を煽るような表現をしたり、速効性を保証するような表現をしたり、などなどその他過剰な表現はしてはいけませんというものです。
医薬品だけでなく、医薬部外品、化粧品、いわゆる健康食品なども薬機法の下に表現が制限されています。
こんな表現は医薬品等適正広告基準に触れるかも
「敏感肌の方や赤ちゃんからお年寄りまで安心して使用できます」
などの表現、けっこうやりがちですが、安全性を保証する表現にあたるそうです。
滋養強壮保健薬の広告に書く「元気」の文字は、承認効能を明記しないと使えない、というルールも。
こうした表現が制限されることで、あれ、これもそう? あれもそう? となり……結局なにを書いていいのかがわからない!
今までにも何枚か書いて実際にお店に飾っているものもありますが、改めて写真を見返してみると、あれ? となってしまいます。
表現に客観や中立は存在しない
薬局もドラッグストアもどんどんポップを書けばいいという記事を上げましたが……
実際そうしない理由は、こういうところにもありそうです。
お客様に正しい情報を伝えるためにも、また、自身が罰則を受けないためにも、守らざるを得ない決まりでしょう。
しかし、大学で散々表現とはなんぞやを学んできた身としては、客観や中立の表現なんてものは存在しないのになあという気持ちでいます。
何のための手書きポップなのか。
もしポップがただ単に商品の情報を正しく伝えるためだけのものだとしたら、私はメーカーから送られてくる既存の販促で十分だと思っています。
手書きポップは書けば必ず書いたその人の人となりが出てきますし、それはその人の主観があります。
その人その人で訴えたいこと、強調したいことがあるのは表現として自然なのに、それをしてはいけないという点において私は「難しい」と思うのです。
ということで、こちら薬局時代に書いた滋養強壮保健薬の手書きポップです。
同じ商品でも季節やシーンでターゲットを変えてみるのも書いていておもしろいです。
今の店でもこういうかたちで書いてみようかな、と思います。