50代くらいの女性のお客様が、娘さんのかぜ薬をお探しでした。
熱が少し高くなりだし体がだるく、鼻水が出るといいます。
「まだ小さい子のおっぱいをあげている子なんだけど……どんなくすりがいいのかわからなくて」
授乳中のお薬、確かに迷いどころですね。
目次
授乳中に飲んでもいいかぜ薬ってなに
「お薬の成分には、妊娠中や授乳中にリスクのある成分というのがたしかに存在します。その中でも使用できるとされる成分を選ぶこともできなくはないのですが……」
市販のかぜ薬、総合感冒薬となると、一つのお薬にたくさん成分が配合されているものになります。
「この成分はよくても、この成分はNG、ということもあってなかなか選びにくいものになります。症状で一番つらそうなのはどんな症状ですか」
「鼻が出るようで、それが一番つらそうに見えるけど、本人はだるいって言っていたのよね。ちょっと寒気もあるのかも」
う〜ん、熱がこれから上がる前なのかな……
鼻の症状をおさえれば、比較的ラクにならないだろうか。
鼻炎薬ってどうなの
授乳中でも比較的安全性が確立されている鼻炎薬の成分もあります。
「クロルフェニラミン」「ジフェンヒドラミン」はそのうちの一つと言われます。
「ただ、これらが単剤で入っている市販薬を見つけるのは難しいですね……それに、これらの成分はまったく安全、という報告ではなかったはずです」
「やっぱり、くすりを飲むことは難しいんでしょうか」
そこで、もう一つ選択肢として考えられるものが。
漢方薬ってどうなの
「漢方薬に関しては、授乳中の女性に対しての添付文書上の注意というのはあまり見られません。用法容量を守って飲めば、比較的安全でしょう」
でも「漢方薬だから安全」という図式は禁物。
妊娠中の場合は禁忌となる生薬も存在するので、妊娠中の人だったら注意しなければなりません。
私は小青竜湯を提案。
「体を温めてくれるタイプの漢方薬になるので、冷えにも効果が出るでしょう。水のようなサラサラした鼻水をとめてくれる効果があります」
ただ、やっぱりくすりに対する不安が拭えない様子のお客様。
「私の頃はとにかく不安ですぐに病院へ行ったけど、このご時世だからそれもなかなかできなくて」
「そうですよね……一応、対策として私から提案なんですけど」
お薬を飲む間は授乳をやめてもらう
一番は母乳に薬の成分が溶け込んでいることによってお子様の影響がないか、ということです。
なので単純に、くすりを飲んでいる間は授乳をやめていただいて、ミルクに切り替えるという方法です。
栄養ドリンクを飲んでゆっくり休む
そもそもかぜ薬は、かぜを治すものではありません。
かぜを治す一番のくすりは自身の免疫。
そのためには十分の休養をとることが大切。
カフェインなどを含まない授乳中でも飲める栄養ドリンクを飲んで、ゆっくり休むという方法です。
けっきょく漢方薬と栄養ドリンクを購入
赤ちゃんがミルクは嫌がるとのこと。
授乳は控えられないけれど、小青竜湯を試してみることになりました。
「お薬って、けっきょくリスクよりメリットの方が上回るかどうかです。飲んだ方が改善されることが多ければ、それも一つの手と思っていいと思いますよ」
この日は、娘さんをゆっくり休ませるために栄養ドリンクも購入され、お帰りになりました。
妊娠している人、授乳中の人へのお薬選びは、難しいです。
有用なお薬をもっと勉強して、提案できるようにならなければと思いました。
誰かのお役に立てますように。
今日も元気にいってらっしゃい〜。