「痩せられるもの、何かありますか?」
そう言ってこられる方、結構少なくない数いらっしゃいます。
先日も、中年の男性が来られて「痩せられるお茶、何がいいですか?」と仰いました。
脂肪燃焼を助けたりする効果を謳う特定保健用食品などもありますが、飽くまで食品です。
それだけを飲んでいたからといって痩せられる訳ではなく、やはり基本には適度な運動と、健康的な食生活があることが重要になります。
生活習慣の見直しです。
そう説明して、お客様のお話を更に聞くと、運動もして、食事も見直したが痩せない、とのこと。
特定保健用食品などもいくつか試したが、効果がないという。
「運動、どのくらいしていますか? 有酸素運動で、ウォーキングをしても、効果を感じられるのは毎日45分以上歩くのがいいと、私は聞きますが……」
「45分は歩きました。でも、そんなんじゃ痩せないよ、と同僚に言われてしまって……」
「食事も見直したんですね?」
「昔より食べる量を抑えてはいるんですけど……」
言葉を濁すような感じで、なんだか続いているのかどうか、というご様子。
防風通聖散系のお薬を勧めてみようかと思い、念の為服用薬を尋ねてみると、血圧の薬を飲まれているとのこと。
血圧の上昇を招く恐れがあるので、安易におすすめは出来なくなります。
「お薬も健康食品も、魔法ではありませんからね……やはりご自身の強い意志と努力でもって、生活習慣を変えていくことが大切ですよ」
「はい」
「お薬を飲まれているなら一度病院の先生にも相談してみて、市販薬も試してみていいと仰ったら、また相談にいらしてください」
「はい」
私がそう素直に言うと、お客様は売場から離れていきました。
暫く別の仕事をして、ふと見ると、今度は青汁売場の前で、同じお客様が悩まれているご様子で、棚を眺めていました。
見かねた私はお客様に近寄り、声を掛けてみますと、商品を指差し「こういうのはどうなんですか?」と尋ねられました。
青汁もお茶も食品だからなぁ、と思いましたが、たまたま青汁は私も普段から仕事の休憩中に飲んでいるものでした。
葛の花イソフラボンが配合されている、ウエスト周囲径が減少すると謳う機能性表示食品です。
「こちらの商品なら私も普段仕事の合間に飲んでいますよ」
「そうなんですか? 痩せましたか?」
「体重は落ちたりしませんが、最近は現状維持してますかね。この青汁の効果かは分かりませんが、久しぶりに会う人からは、痩せた? と尋ねられることもありました。締まったように見えたんですかね」
「どうやって飲んでますか?」
「まあ、こういうのって、大体100mlのお水に一包て書いてありますけど、私は500mlペットボトルの水に、これと大麦若葉の青汁を一包ずつ入れて飲むことが多いです。味もお茶感覚で飲める、飲みやすい方だと思います」
「そうですか」
「飽くまで私の個人的感想なのでね……」
と言いましたが、お客様は試しにとひとつ青汁を買い物かごにお入れになりました。
私の場合、午前中は商品の荷出しで重い荷物をせっせと運びますし、可能ならば仕事が終わると週2間隔でホットヨガ教室に行って更に1時間は汗をかくか、最近はフィットネスジムで1時間くらい歩いたり走ったりすることもありますから、体型を維持できるのは絶対に青汁だけの効果ではないはずです。
でもおそらくお客様は私の証言と私の体型を照らし合わせて、これがいいと判断したのでしょうね……薬や健康食品、化粧品を売る人間は健康的で美しい見た目の方が売れるんだろうな、とつくづく思います。(私の体型が美しいとは言っていない)
果たして私の売り方は誇大表現になるのでしょうか。
でもその前に散々言いましたからね。
もう一度改めて申し上げます。
お薬や健康食品は魔法ではありません!
適度な運動や健康的な食生活が基本です!
今日も一日理想の自分を目指してがんばりましょう。