最近多いな〜と思うお客様の相談は「のどが痛い」かな、と思います。
のどが痛くなると、風邪のひき始めかな〜と考える人も多そうですね。
この日も60代くらいの男性が、かぜ薬を手に尋ねてきたので、今日はそれについて書きたいと思います。
目次
症状について聞いてみるべき3項目
男性のお客様は数日前からのどの痛みを感じている様子でした。
ご本人は「かぜ」だと思い「のどの痛み」とあるかぜ薬を選択しましたが……
経験上「のどが痛い」とお客様が訴えている場合……
「痛み」を引き起こしている原因に「かぜ」以外のパターンも存在していることがあります。
それをあぶり出すかのようにこれから質問していくわけですが、最低でもこの3つは聞いています。
お客様にたずねる3質問
- のどが痛いほかに症状はありますか
- のどは赤く炎症を起こしていますか
- 「痛い」ですか「不快感」ですか
のどが痛いほかに症状はありますか
お客様にとって今いちばんの症状のお悩みは「のどの痛み」ですが、それ以外にも症状があるかもしれません。
たとえば……
- せきは出ますか
- 発熱はありますか
- 鼻は詰まっていませんか
この辺りの症状の有無は聞いておきたいところです。
「熱はないし、せきも出ないんだよね。鼻詰まりもない」
「そうですか、ならこちらのかぜ薬ではないお薬をおすすめしたいところですね」
だって、いくらパッケージに「のどの痛み」と書いてあっても……
かぜ薬(総合感冒薬)にはほかにも「解熱鎮痛成分」「せき止め成分」などなど、たくさんの成分が入っています。
「のどの痛み」以外になんにも症状が出ていないお客様にとって、それらの成分は「余分」でしかありません。
ということで「のどの痛み」に特化したお薬を選ぶ方がいい、という判断ができます。
のどは赤く炎症を起こしていますか
「ご自身ののどを観察されましたか。赤く炎症を起こしている感じはしましたか」
「う〜ん、どうだろう。見ていないからわからないけど」
「そうですか。ちなみに、鼻詰まりはない、とおっしゃっていましたが……ふだん口呼吸を頻繁にしていたりはしませんか」
何でこんなことを聞くかというのは、結局のところ次の質問にもつながるのですが……
わかりやすく「炎症している」のが分かれば、抗炎症作用に強い成分のお薬を選ぼうかなという選択肢が絞られます。
「痛い」ですか「不快感」ですか
「鼻の通りが悪いわけでもないし、鼻で呼吸していると思うね」
「では、お客様が感じているのどの痛みというのは、何かが張り付いているような、異物感というか、不快感。いがいが感とか、そういうふうには表せませんか。かぜを引いたような痛みと、ちがうところは感じませんか」
実は、今回のカギとなりうる質問はここだと思っています……
お客様のいう「痛い」というのが、具体的にどういうレベルというか、感覚で言っているのかを明らかにするべきです。
けっこうこの感覚は、人によるもので「のどがかゆい」とか「異物感」を感じる状態でも「痛い」と表現する人はいます。
「そうそう、なんていうか、のどが渇いていがいがするというか、そういう感じかな」
「そうなんですね。実は、なんでこういうことを聞いているかというと……」
実は花粉症のシーズンになると多い接客事例
「ここ数日、花粉症の人がしんどそうにしているので、おそらくですが……けっこうこういう季節に、のどが痛いとおっしゃるお客様が多いんですよね」
「のどが痛いのは、花粉症ってこと?」
花粉症の人で「のどの痛み」を訴えるのは、鼻詰まりが起因の「口呼吸」という話もあります。
花粉混じりの乾燥した空気を口で吸い込むから、のどの粘膜が傷つくということでしょう。
「とくにこの数日は花粉が多く飛んでるように私も感じるので、花粉症じゃない人にも影響することも考えられるかな、と。あくまで推測なのですが、ほかに風邪の症状が出ていないことを考えると、ありうるかもという話です」
ということで、こうしたときに私が挙げる選択肢はこちら。
のどの痛みに特化した抗炎症成分配合のくすり
「トラネキサム酸とカンゾウという生薬、両方とも炎症を抑えてくれる効果のある成分です。あとは粘膜を正常にはたらかせるために、ビタミン剤が入っています」
こういった「のどの痛み」に特化したお薬は「口腔咽喉用薬(こうくういんこうようやく)」と呼ばれます。
「痛み止め」とはちがいますが、痛みの原因である「炎症」を鎮めることで、症状を改善していく役割になっています。
ちなみに「痛み止め」の中では「ロキソプロフェン」や「イブプロフェン」が抗炎症効果にも優れている成分です。
のどが真っ赤に腫れて痛みが強くて、というときには選択肢になると思います。
水なしで飲んでのどの不快感を改善するくすり
「効能にものどのあれ、のどの不快感とあるので選択肢にあげます。これは水なしで飲むもので、のどに直接付着させることで作用します」
のどの繊毛運動を活発化させるというこのお薬……
私のまわりでも寝起きののどの乾燥による不快感を改善するために飲んでいる人とかいて、けっこう愛用者がいるんですよね〜。
軽い痛みや不快感であれば有効に働く可能性があります。
また、のどをうるおすことで改善されるのであれば、医薬品でなくとものど飴やトローチをなめることも効果的かもしれません。
「ただ、のど飴だと気になってしまう砂糖がこのお薬には入っていないので、糖質を気にされる場合であればこちらを活用してみるのもいいと思います」
鼻詰まりなど鼻症状がある場合は鼻炎薬もアリ
今回のお客様は鼻症状を感じていないようだったので大々的にはおすすめしませんでしたが……
鼻炎薬を使うことで、結果的にのどの痛みも緩和していくこともあります。
症状の「感覚」を聞くのってけっこう大切だと思う
結局、お客様は最後にご紹介した、のどをうるおす水なし服用タイプのお薬を選ばれて帰られました。
のどに限らず……
お客様が「痛い!」と訴えていたら、一応「どんなふうに痛いのか」を聞いてみるといいかもしれません。
ズキズキとか、しくしくとか、いろいろ言うかもしれませんが……
特徴的な痛み方ではもしかしたら受診をお勧めしなければならないこともあるかもしれません。
もっと病態についても知っていかなきゃならないな〜と思うこの頃です。
誰かのお役に立てますように。
今日も元気にいってらっしゃい〜!