「すみません、ちょっと聞きたいんですけど」
と、やってきたのは20代前半くらいの若い男女のお客様。
差し出されたのは妊娠検査薬です。
「これって、どうなったら妊娠してることになるんですか」
尋ねてきたのは男性のお客様です。
女性の方も男性の後ろで話を聞く感じでしたので、お二人を医薬品レジにご案内。
「そうですね、生理、来てない感じですかね」
と、女性のお客様へ尋ねると頷かれます。
「そうですか。じゃあ、これね。生理来る日から一週間経ったら使えるのね」
「はい」
「そしたら、おしっこかけるところがあって、3秒くらいかけてください」
「はい」
「そしたら、平らなところに置いて、1分くらい置いとくのね」
「はい」
ひとつひとつ確認するように説明を続けます。
「ふたつ、線が出る窓があります。判定のところに線が出たら、陽性。妊娠の可能性があります」
「その線が薄かったら、どうなんですか」
と、男性のお客様。
「薄くても陽性、と考えてください。もし、もう一個の終了部分に線が出ない場合は、何かやり方がよくなかったときなので、そういうときはやりなおしてください」
「わかりました」
もし、線が出なくて陰性だったとしても。
と、女性のお客様に向いて説明を続けると、不安そうに、でもまっすぐ私の方を向いていました。
「自分でなんだか体の調子がおかしい、と思ったら病院で検査してみてくださいね」
「はい」
「陽性だった場合も必ずそのあと病院へ行ってくださいね。検査薬だけでは、それが本当に正しい妊娠とはわかりませんので」
「正しくない妊娠って……」
「たとえば、受精卵がちゃんと子宮の中で着床しているのかどうかとか、妊娠の状態を確認するのにも病院へは行ってほしいのです」
「わかりました」
中に説明書もあるので、よく読んで使ってくださいとご案内し、お二人は会計後お帰りになりました。
この接客に限らず、接客事例を記事にするときは多少シチュエーションを変えて書いています。
でも、こういった接客はこれまで薬局時代を合わせても二、三度は経験しています。
ひやかしで聞かれることもありますが、その数回は、こうして真剣に相談されて答えています。
インターネットも普及して、わからないことはすぐに自分で調べられる時代です。
でも、私はこういうときこそ、わからないことはすぐに相談してほしい、聞いてきてほしいと思います。
そのために私たち資格者はお店に立っています。
どうぞお悩みのときはお気軽に登録販売者にたずねていただきたい。
日々学ぶことを忘れずに、お客様の悩みに寄り添う心を忘れずに。
自分ができることを精いっぱいがんばってきたいと思います。
それでは今日も元気にいってらっしゃい。