70代くらいの男性のお客様。
夜間のお手洗いへ行く回数でお困りの様子でした。
「何回もトイレに行きたくなるんだよね、テレビでCMをやっているくすりを試したいんだけど」
と、指名されたのは「清心蓮子飲」の漢方薬でした。
お小水のトラブルに関する漢方薬はさまざまありますが、果たして……
症状をくわしく聞いてみた
「お手洗いに行きたくなるのは、夜中にですかね。お小水の量はふつうに出ますか」
「夜中に何度も行くんだけど、あんまり出ないんだよね。でもすぐまた行きたくなるから、困っているんだ」
以前からなんとなく気になっていたけれど、いよいよ困ってきて尋ねられたというお客様。
病院にかかっていることは、この件を含め、ほかの病気などでもなさそうです。
- 夜中に何度もお手洗いへ立つ
- 尿量は少量で残尿感も少し感じる
- 既往歴なし
- 服薬なし
お話をまとめるとこんな感じです。
「このくすりを試したいんだけど、どんなお薬? すぐに効くかな」
と、再び「清心蓮子飲」のお薬を手にされました。
お薬のちがいを尋ねられた
「こちらのお薬は漢方薬です。1日2回の服用で、お腹が空いているときに飲みます」
「漢方? こっちは? これも、夜間頻尿にって書いてあるけど」
と、次に手にされたのは「八味地黄丸」でした。
「はい、そちらも漢方薬です。でもちがう漢方薬で、それぞれアプローチが変わってきます」
大きなちがいをざっくり言えば、温めるか冷ますかです。
ということで、カンタンに説明することとなりました。
清心蓮子飲
「お客様が最初にお求めになったこのお薬は、名前の字のごとく「心」をさますものです。体の上の炎症や脱水によって起こる、顔の赤みやイライラなどをおさえる効果もあるのが、この清心蓮子飲です」
「頻尿とはどう関係があるの?」
清心蓮子飲は「気虚」の状態の人が飲むタイプのお薬です。
「つまり、内臓を動かすエネルギーが不足している人です。膀胱の機能が弱っていることで起こる頻尿には、このお薬が向いている可能性があります」
「じゃあ、このくすりを飲んでいいのかな」
「残尿感もあって尿量の少ないお客様には、あっている可能性もあります。ただ、最初の説明のさます特徴もあるお薬ですから、汗っかきでほてりがある人の方が、より向いているような印象です」
八味地黄丸
「反対に、こちらの八味地黄丸は、温かいタイプの漢方薬です。体の冷えを感じる人はこちらの漢方薬が向いています」
尿トラブルや腰痛なども含めた下半身のだるさに有効の「八味地黄丸」
ですが、こちらは「寒証」の人に向けた処方のお薬です。
「手足が冷えたり、寒がりだったりする人を温めることで正常に働くので、体がほてっている人が飲むと症状が悪化するおそれがあります」
病院の受診もおすすめした
「ただ、お客様くらいの年齢からを考えると、加齢による前立腺肥大の可能性も考えられます」
「そうだね、年だからね」
冬の間はさむいし、トイレも近くなることもありますが……
年齢に、尿量も少なくなっていることから、この可能性も拭えません。
「一度病院へ行き、原因が何かをはっきりさせて、適切なお薬を処方してもらうのもおすすめいたします」
「そうだね、でもまずはこのくすりを試してみる。ダメだったら病院へ行くね」
そう言ってお客様は、清心蓮子飲のお薬を手に取り帰られました。
くすりの特徴を理解しておすすめできるように
尿トラブルのお薬(頻尿、膀胱炎など)って、意外にけっこうあるからごっちゃになりがちですが……
ひとつひとつ特徴を掴んで、お客様に説明できればいいなと思います。
過去に夜間頻尿はこんな接客もしています。
お客様に親身になって接客できますように。
それでは今日も元気にいってらっしゃい〜!