40代くらいの女性のお客様に尋ねられました。
「テープで貼るタイプのいぼ取りはどこにありますか」
「いぼ取りですね、こちらになります」
売場に案内し、しばらく横で様子を見ていると、はじめて使うのでどれを選べばよいのかわからない、とお客様。
そこで、すかさず私はこう尋ねました。
「はじめに確認ですが、どちらにできたいぼにご使用を考えていますか」
目次
足以外の使用箇所を答えられたら注意
「首のいぼを取ろうと思って……ほら、ここに」
たしかに、お客様の首にはぽつんといぼのようなものができています。
結論から言って、こちらのお客様にいぼ取りは販売しませんでした。
なぜなら売場にあるのは足に使用するための、テープ式いぼ取りだったからです。
やわらかい皮膚には不向きな薬剤を使用している
「こちらのお薬、足など固い皮膚に使用するものとなっております。首や顔周辺など、やわらかい皮膚には、角質を柔らかくする作用が強すぎるため、使用しないこととなっています」
と、お客様に説明。
「そうなの? 前に知人が同じように使っていたから大丈夫だと思うけど」
「使用範囲は守っていただかないと、症状の悪化の原因になったり、副作用が起きる原因になることもあります。私からはおすすめすることはできません」
消炎薬や鎮痛薬にも使われる「サリチル酸」という成分。
強力な角質溶解作用を利用して、いぼやうおのめ、たこを取り除きます。
市販で売られているこうしたお薬には使用してはいけない部分として
- 顔面
- 目の周辺
- 粘膜
- 首などやわらかい皮膚
の、ほかにも……
- 炎症、きず、化膿のある患部
があります。
また、足に使用する場合でも、くすりの大きさを誤ると、健康な皮膚にもお薬の影響が出てしまします。
必ず患部の大きさに合わせたものを選ぶようにします。
いぼならなんでも使用していいわけではない
本来、これらのくすりが有効ないぼは
「角質化した表面のざらざらした硬いいぼ」
とされています。
なので、いぼならどんないぼでも使用していいわけではないのです。
- みずいぼ
- 老人性いぼ
- 肛門周辺や外陰部にできたいぼ
- 一列にできたいぼ、群生したいぼ、多発したいぼ
などなど……
こんな感じのいぼに使おうとしている人も要注意です。
必ず皮膚科への受診勧奨をします。
こんな人は受診勧奨する
また、いぼ以外にも注意しなければならないことがあります。
- 妊婦、妊娠していると思われる人
- 糖尿病を患っている人
は、受診勧奨を考えなければなりません。
妊婦、妊娠していると思われる人
サリチル酸の内服の動物実験で、胎児の奇形を起こす可能性があると報告されています。
妊婦さんには避けたほうがいいお薬かもしれません。
糖尿病を患っている人
感染抵抗力が下がっている糖尿病患者さんは、受診をすすめたほうがいいでしょう。
問題は角質をとるときに皮膚を傷つけてしまった場合に、感染しやすくなる可能性が高いというところにあります。
市販のお薬を使うと自己判断で処置をしなければならないので、そのリスクは高まりそうです。
何気に確認することがいろいろあるくすり
水虫薬のように、誰でも手に取れるところにぽんと置かれているお薬ですが……
- 足以外の患部に使用していないか
- 患部のいぼは角質化した表面のざらざらした硬いいぼか
- 妊娠している可能性はないか
- 糖尿病を患ってはいないか
など、意外と確認したいことがあるお薬です。
積極的に聞いて、お客様を安全な道へ誘導できればなあと思うこの頃です。
それでは、今日も元気にいってらっしゃい~。