最近、隔週で同じお薬を根こそぎ買いに来られるお客様がいます。
最初はよくお使いなのかな、と思っていましたが……
ここのところ買いに来られる頻度も異常に感じ、常用するようなら病院をおすすめしようと、接客の機会を伺っていました。
お客様から取り置きの電話があったので、商品に顛末のメモと、聞きたいことを書き、みんなにもわかるようにしておきました。
電話の時点で断ることもできましたが、直接顔を合わせてお聞きしたいのもありました。
結局のところ、買いに来られたときに対応したのはまだ経験の浅い入社したばかりの資格者で、お客様の凄みに何も言い出せなかったということ。
仕方ない、また買いに来られるだろうから、その時に声をかけてみよう……
ほかの資格者にも改めて周知させました。
資格者はお薬を「売らない」という判断もできる
今回のお客様の使用しているお薬は、濫用のおそれのあるといわれている成分のものではありませんでしたが……
購入頻度や一度に購入する数、その間隔などで「おかしいかな」と気がつきました。
一人の資格者が感じた違和感は、店内のすべての資格者に情報共有もできます。
お店にとっては商品を頻繁に買ってくれる「お客様」かもしれませんが……
お薬を販売できる人間としては、その人はさまざまな危険をまとっている人と考えます。
そういう人には「くすりを売らない」「病院をすすめる」「生活改善を呼びかける」など、お薬に頼らない方法を提案することになります。
だって、資格者は「お客様を見ている」わけですから。
みすみす見逃すわけにはいかないものでしょう。
案内するだけ売るだけなら「自動販売機」といっしょ
登録販売者は、市販薬を売ることを目的に作られた「商売」のための資格です。
資格者がお店に立つことで、お薬の販売が可能になる。
でも、だからといって登録販売者がお薬を探すお客様を売り場に案内したり、持ってきたお薬をレジに通すだけでいい存在だったとしたら……
それはもう「自動販売機」と同じものです。
なんのために慣れないお薬やからだの仕組みについて勉強して試験に合格するのか。
日々更新されていく医療や健康の情報に追いつこうと勉強を続けるのか。
お薬についてよく知らないお客様の「身近な相談窓口」として存在したい。
「自動販売機」になんて、なっていられないのです。
変えられないかもしれなくても「伝える」ことを忘れず
たとえ私たちが一生懸命にお話を聞き、お薬を売ることをお断りしたとしても……
思いが届かないこともあるかもしれません。
もしかしたら、ほかのお店で買われてしまうこともあるかもしれない。
何がなんでも、お薬を手に入れる方法をみつけられてしまうかもしれない。
それでも、私たちはお客様のことを見ている限り、伝え続けていくしかないのかなと思っています。
近日、都内で「OTC医薬品の自動販売機」が、本当に設置されるようですが……
そんな波がきても、くすりの資格者であることを誇りに、誰かの役に立てることを祈りながら、一生懸命働きたいと思います。
それでは、今日も元気にいってらっしゃい〜!