お客様の中には、ステロイドの入った市販薬(塗り薬、点鼻薬など)に抵抗を感じる人がいらっしゃいます。
実際、それらは「アンテドラッグ」という局所にだけ効果を発揮するタイプのステロイドになりますが、これを上手に説明するのに悩まされる時があります。
年配のご夫婦に呼ばれ、行ってみると奥様がかぶれのお薬をお探しでした。
患部は耳の裏です。
「かぶれの原因とか、心当たりはご自身でおありですか」
「はい。ちょうど髪を染めたあとなんです」
「なるほど……髪染めがお肌に合いませんでしたか。そうしたら、ほかの部分ではかぶれは気になっていませんか」
「部分的だから、耳の裏だけなんだと思います」
髪染めのかぶれはアレルギー反応ですから、使い続けるとショックを起こす可能性もあるので、そちらも注意しなければなりません。
「髪染めでアレルギー反応出ると、今後どのヘアカラー剤を使うのも危険になってくるので、一度病院を受診されることはおすすめします」
と、注意をそえました。
お話を聞いているとかゆみは感じないようでしたが、患部を見ると皮膚が炎症を起こして荒れているような印象を受けました。
そこでステロイドの入ったクリーム剤を提案します。
「このステロイドが炎症をおさえたり、かゆみがあったらそれもおさえたり。効き目にも速効性があるので、かぶれの症状にも向いていますよ」
「ステロイドって強いお薬なのかしら」
「このステロイドって、症状が出ているそこにしか働かない、全身に作用しないタイプのお薬なので、お客様が心配するようなことはおそらくないと思います」
「そうなんですね」
「一応確認ですが、こういう塗り薬、虫刺されのお薬などを含めてしっしんが出たり、具合が悪くなるようなことはありましたか」
「ないです」
今回の髪染めのように、体質の変化などで今まで平気だったものがだめになるようなこともないとは言えませんが、今回はそのクリーム剤を使用するということに。
「患部に適宜塗っていって、一週間経っても治らなければ病院へ行ってそれを伝えてください。それがなくても一度病院でアレルギー検査とか、されることをおすすめはいたします」
「わかりました。どうもありがとう」
今回のお客様はすんなりとお薬を受け入れてくださいましたが、まだまだくすりへの偏見を持たれる方は多くいらっしゃいます。
適切なサポートができるように、言葉選びにも気を遣っていきたいです。
市販薬のリスク区分の説明に奮闘している記事はこちらです。
今日も一日がんばりましょう。