女性のお客様が、未就学のお子さまが「お腹が痛い」と言っていると相談してきました。
病院は休診で行っておらず、市販薬で対応しようとしていました。
「お腹のかぜだと思うんですけど……」
と言いながら、総合感冒薬(かぜ薬)を手にしています。
ときどきお腹の調子が悪いのを「お腹のかぜ」って言いますけれど……
その場合の正しい対応は「かぜ薬」ではないことを説明しました。
目次
お腹のかぜって結局のところ「胃腸炎」だよね
「お腹のかぜ、と言いますが、それはつまり『胃腸炎』なんですよね。一般的なかぜとはまたちがうんですよ」
総合感冒薬(かぜ薬)とは主に、熱や痛みを和らげる解熱鎮痛成分や……
せき止めの鎮咳成分、くしゃみ鼻水などに効果がでる抗ヒスタミン成分など……
いわゆる「かぜ症候群」の症状を和らげるお薬のことです。
「お腹が痛い以外には、どんな症状が出ていますか。下痢をしたり、戻したりしているのでしょうか」
「少し下痢を起こしているみたいです。吐いたりはしていません」
「急性胃腸炎」も、消化管に入った細菌やウイルスが炎症を起こして起きるもの。
他にもいろいろ症状をお聞きしましたが……
熱もなく、痛がらない瞬間もあるようすでした。
胃腸炎かとも言い切れないなとも思えましたが、どう対応しましょう。
悪いものを「出す」方向の改善策
「胃腸炎かもしれない人へよくご案内しているのは、まず下痢をしていたら止めないということですね」
つまり、下痢止めを使用しない。
整腸剤という選択肢もありますが、あまりおすすめしたことはありません。
「細菌やウイルスをはやく外に出したほうが、症状が落ちつくので、下しているうちはとにかく出してしまうのがいいです」
「せめてお腹が痛いのを止めてあげたいですが、痛み止めは飲んでもいいんですか」
「う〜ん、お腹が痛いって、頭が痛いとか腰が痛いとかの『痛い』と、痛みの起きる仕組みがちがうんですよね。だから、お腹が痛いの痛み止めって、実はないんですよ」
お腹をさすったりとマッサージをしてあげてくださいとアドバイスしました。
とにかく脱水予防で水分補給をすすめる
「お腹を下すので、脱水にならないように水分だけは摂らせてください。経口補水液などを利用してもいいですよ」
食事はどうしたらいいですか、と聞かれたため、無理に摂らせなくても大丈夫ですと回答。
お腹が空いて、食べられるようであれば、消化のいいものを選んで食べさせるといいと思います。
状況によっては病院を受診することもすすめる
今回、具合が悪いのは未就学の小さなお子さま。
自分で明確に体調の変化を言語化しにくいお年の子のため、こちらでよく見てあげなければなりません。
「お腹を下していても本人が元気そうだったり、痛みが和らぐ瞬間があったりする場合は、自宅で様子を見続けていいかもしれません」
でも、様子によっては救急でも病院へ連れて行ったほうがいいと思います。
「ぐったりしていて元気がない」「嘔吐をともなっている」「発熱している」
などの変化に気づく必要もありますし……
「痛みで動けない」「お腹を触ると痛がる」
など、明らかにすごく痛がっていたりする場合なども、病院で相談するのがいいですね。
場合によっては胃腸炎ではない可能性も考えられます。
お子さまの体調の変化をよく見て受診も視野に
ということで、お客様はお薬ではなく経口補水液を何本か買って帰られました。
市販薬をご本人以外が買いにこられることはままあります。
とくに、お子さまのためにお薬を選びにくる人は多いもの。
お子さまも自分の症状を上手に伝えられていない可能性があります。
親御さんはお子さまの観察が必要ですし、我々もいろんな角度での情報を引き出せるように、お話を聞かなければなりませんね。
それでは、今日も元気にいってらっしゃい〜。