あの頃と比べ、消毒用エタノールをはじめとするアルコール製剤が手に入りやすくなりました。
もはや手指をアルコール消毒するのも日常の光景ですね。
春休みだなあと思ったのが、先日。
10代くらいの女の子が、消毒用エタノールとオキシドールを持って尋ねてきました。
「ピアスを消毒したいんですけど、どっちも消毒って書いてあって……どれが一番いいんですか」
私はピアスを開けたことがなく、消毒をするということを初めて知りました。
店にもピアスを開けたことのありそうな人はいないのですが……
まわりに相談しつつ、出した答えを書いていきたいと思います。
目次
ピアスの穴は消毒しない方がいいのでは
「ピアスを開けるのははじめてですか。消毒する、というのはお友達からの情報でしょうか」
「ネットに書いてありました。消毒液がいくつか紹介されていたけれど、実際はどれがいいのかわからなくて」
あとで検索をかけてみると、たしかにネットにはピアスホールの消毒する方法について書かれたウェブサイトがたくさん。
意見もあちこちに分かれているようです。
しかし、その中には私と同じ考えの意見もありました。
それは「ピアスで開けた穴は消毒しない方がいい」という意見です。
「たとえば、この消毒用エタノール、お客様も日頃使用されているかもしれませんが、毎日使いすぎて手が荒れたりしてしまったという人を見てきたりしませんか」
「そうですね、まわりにもいます」
エタノールを使いすぎると起きるのが
- 脱脂が起こる
- 水分が奪われる
- 常在菌が除去される
という点です。
「これが、手荒れの原因です。とくに常在菌が除去される、ということは皮膚にあるいい菌も殺してしまうということです。ある種傷になっていると言えるピアスホールで常在菌をなくしてしまったら、皮膚の荒れの原因になるのでは、と私は思うのです」
「消毒はしなくていいということですか」
消毒するのはピアスを開ける「前」では
「もし、消毒をする場面があるとすれば、ピアスを開ける前ですね。洗浄して、きれいにした後にエタノールなどを使用して消毒をするのがいいかと思います」
エタノールは本来、傷のない皮膚や、器具を消毒するためのものです。
刺激性が強いので、傷口や粘膜には使用しないのです。
なので使用するのなら、実際にピアスを開ける前、皮膚をきれいにした状態でおこなうのがベストと考えます。
開けたあとは毎日「洗浄」し清潔にする
「開けたあとは何もしなくていいのでしょうか」
「毎日洗浄してください。きれいに洗って、清潔にするのです」
毎日一回以上、お風呂などのタイミングで、石けんなどを使って洗い流すといいでしょう。
結局、膿を起こす細菌のエサは「汚れ」ですから、細菌の数を増やさないためには「汚れを落とす」ことが大切です。
仮に毎日消毒をしていても、傷口が不潔であれば、傷口の悪化の原因になりうるのです。
ピアス本体の消毒はしたほうがいいのか
「ちなみに毎日さすピアス本体は消毒したりした方がいいんですか」
「清潔にした方がいいでしょうね、物によっては煮沸消毒などもできるでしょうが、素材によって方法も変えた方がいいでしょう」
ステンレス製やガラス製のピアスは消毒用エタノールも使用できるかもしれません。
アクリルや樹脂の素材のものは石けんで洗うなど、やさしい洗浄方法がいいかもしれないですね。
経験のないことも知識が役に立つこともある
私は実際にピアスホールを開けたことはありません。
でも、こうして登録販売者として得た日頃の知識でアドバイスもできるんだな〜と思いました。
今日も誰かのお役に立てますように。
元気にいってらっしゃい〜。