「すみません、ロキソニンを売ってもらいたいんですけど……」
と、やってきたのは40代くらいの女性のお客様。
私のいるお店には薬剤師の先生はいらっしゃらいません。
なので第1類医薬品に当たるロキソニンの販売は行っていません。
「主人が歯痛を起こしていて、ロキソニンなら効くと思ってきたんですが……」
「そうでしたか、歯痛の原因はなにか心当たりはありそうですか」
「歯医者に行っていないのではっきりはわかりませんが、ちょっと口の中が腫れているようなことを数日前から言っていました」
基本的に、歯痛で来られるお客様の場合は、必ず早めの歯医者の受診をおすすめしています。
痛み止めは、あくまで一時的に痛みを緩和するためだけのものです。
くすりで痛みをごまかし続けているうちに、症状が進行して、治療の機会を逃してしまう危険性もあります。
「早めに歯医者さんの予約をしていただいて、受診された方がいいですね。けっこう痛がっていらっしゃいますか」
「ごはんを食べるのがつらいみたいです。最初はそこまでではなかったのですが……」
「歯医者さんに行くまでつらそうであれば、ロキソニンはご用意できませんがほかの痛み止めをご提案することはできます。ふだん飲まれている痛み止めはなにかありますか」
いつもはイブプロフェンが配合されたお薬を使用しているとお客様。
でも今回はそのお薬の効果もあまり感じないと言います。
「このお薬と、ロキソニンではどちらが効きますか」
と、指さされたのはイブプロフェンとアセトアミノフェンが配合されたお薬です。
「お客様が使用されているお薬と同じ成分と、もうひとつちがう痛み止めがいっしょに入っているお薬になります。イブプロフェンが効かない場合、こちらのくすりを飲んでも、効果が期待できない可能性はあります」
「じゃあ、やっぱりロキソニンの方が効果があるんですか」
「成分がちがう分、可能性はあるかもしれません。両方化学構造が似た成分になるので、旦那様に効くかどうかは正直飲んでみないとわからない部分もありますが」
「そうですよね……」
「ロキソプロフェンのほうが、イブプロフェンと比べると作用がでるのが早いので、効けば速効性はあります。ただ、効果の持続時間が短いので、連用には注意した方がいいです」
お客様はロキソニンを探されるようだったので、詳しい話はそのお店の薬剤師さんに聞いてもらうことにしました。
「ただ、旦那様の場合、くすりの成分で効かないというよりも、やっぱり症状の進行で痛み止めの範疇を超えている可能性が高いです。一刻も早く治療するようお伝えくださいね」
「わかりました。ありがとうございました」
「おだいじになさってください」
ロキソプロフェンは登録販売者では扱えないお薬の成分です。
でも、知識は持っていて損はないです。
ロキソニンは鎮痛・抗炎症効果が高いというのはもちろんですが、
作用が発現する時間が早いけど持続時間はわりと短いということも知っているといいですね。
ロキソニン以外のお薬の選択肢ができることもあると思います。
お客様にとっていい選択を提案できますように。
今日も元気にいってらっしゃい~。