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医薬品 接客

市販薬の薬物濫用! 知らないお客様と伝えるくすりの専門家

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「すみません、お薬の接客お願いします」
と、レジバイトさんに呼ばれ行ってみると、女性のお客様。
お子様のお薬選びにお悩みでした。

「熱が出てのどが痛かったんですけど、それはもうおさまって」
「はい」
「今せきが続いているんです。せき止めみたいな、何かお薬があればと思って」
「実際症状が出始めたのって、いつ頃のことになりますか」
「一週間くらい前です」
「せきの症状に変わってからはどのくらいで」
「4~5日くらいだと思います」

お話を聞きながらくすり売場へと移動。
今は熱もなく、せき以外の症状はみられないという。

「痰はからんでいそうですか」
「最初は痰が出ていたんですけど、今はどちらかというとかわいたせきをしています」
「そうですか。風邪の治りかけかもしれませんね。確認ですが、お子様はおいくつでしょうか」
「中学生です」
「ということは、15歳未満……」
「あ、いえ、15歳にはなっています」

15歳なのでコデインの販売はできるけど、正直あまりおすすめはしたくありません。
店で売れるくすりの中では「麦門冬湯」一択でしたが、一応一通り説明。

「今このお店で売られているほどんどのせき止めのお薬に含まれているこちらの成分がせき止めの効果があります。中枢をおさえることで、せきを鎮めるのに効果的ですが、便秘の症状が現れやすくなります。日頃からお通じが出にくい人にはあまりおすすめできませんが」
「快腸なので大丈夫かとは思いますが……」
「もうひとつ、こちらの成分、せき止めの目的外で使用する人がいるということで、販売を制限させていただいています。いわゆる濫用防止です。15歳未満の方はそもそも飲むことができません」
「子どもは15歳ですが、ちょっと心配ですね……」
「かしこまりました。別のお薬がございます。こちらは漢方薬です」

ということで、麦門冬湯をご案内。

「痰もからんでいない空咳が続いているような人に有効にはたらく漢方薬です。風邪のあとにせきが残っているお客様の症状のような方によくおすすめしています。眠くなるような成分もありませんし、漢方薬は、症状と体質、タイミングが合えばスムーズに効き目がでるお薬です」
「寝る前にひとつ飲ませても大丈夫でしょうか」
「そうですね、漢方薬なので基本的にごはんを食べる前、おなかが空いているときに飲むと効果を発揮します。夕飯を食べてしばらく経っているのであれば、今回は寝る前に飲ませてあげてください。朝起きたら、朝ごはんを食べる前に一包飲めば大丈夫です」
「わかりました。漢方薬って、けっこう飲みにくいですか。苦かったり……」
「私も麦門冬湯を実際に飲んでないですけど、そうですね……甘草や人参が生薬にあるので、もしかしたら甘辛いような味がするかもしれません。想像です。おいしくはないかもしれません……」
「そうですよね、お薬ですもんね」

がんばって飲んでもらう、と麦門冬湯を手に取るお客様。
「しばらく飲んでいて、それでもまだ1週間とかせきが続くようであれば、風邪以外の原因も考えられるので病院へ連れて行ってあげてください」
「わかりました。ありがとうございます」
そう言ってお客様はレジへと行かれました。

素直に麦門冬湯を差し出せばよかったのですが、せき止め(コデイン)がどういうものなのかを知っていただく機会だと思って説明させていただきました。

薬物濫用、というと違法薬物をイメージする人は多く……
町の施設に飾られた子どもたちが描くポスターを見かけても、覚せい剤の密売、使用を警告するものが多いです。

ですが深刻なのはコデインなどを目当てにした市販薬の濫用。
最近は若い人の乱用が目立つと聞き、私が勤める会社でも購入できる個数を制限したり、未成年には名簿の記入をさせるなどをおこなうなどの注意書きを売場に書いたり、対策をたてています。

子どもたちを薬物乱用から守るには、やっぱり正しい知識を持った大人の目が近くにあることは大切だというふうに思います。

ひとりでも多くの人がこうした認識を持てるように、私たちも仕事を通して伝えていかなければならないでしょう。

私たち登録販売者は、資格の勉強をするとき、参考書なり手引きなりを開いて最初に医薬品は異物であるということを学びます。

必ずしも期待するいい効果だけをもたらしてくれる訳ではなくて、よくない反応がでることだってあります。
正しい使い方をしていてもそうですから、誤った使い方をすれば健康を害する原因にもなります。

そういうものを取り扱っているんだという意識をもって、新しい情報や正しい情報を見分けて、お客様にも提供できればいいなというふうに思います。

今日もお客様の健康をサポートできますように。
よりよい選択ができますように。

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