50代くらいの女性のお客様。
「介護の仕事をしていて、そのせいかなって思うんだけど」
と、荒れた手を差し出されました。
今までの手荒れ対策はある軟膏を塗ること
「お辛そうですね。今まではなにか対策などはされていたのでしょうか」
「今までもこうして手荒れは続いていたから……これを塗って過ごしてきたんだけど」
と、指さされたのはクロルヘキシジングルコン酸塩液が有効成分の、よく家庭にあるあの軟膏でした。
「手荒れに軟膏を塗るのはいいことですね。でも、効果は感じませんでしたか」
「塗らないよりはいいんだろうけど、もっといいものがあればそれにしたいと思って……」
「たしかに成分自体が殺菌消毒の効果しかないので、治癒的な目的で使うと、ちょっと違うかもしれませんね」
商品の提案とお客様からの質問
たとえば、と私が取りだしたのはアロエが成分として使われている軟膏。
「アロエは保湿をしながら、組織を修復したりする力もあるので、同じ軟膏剤でもこうしたものを使用された方が、より手荒れが改善されるのかなと」
「そうなんですね、なんだかよさそうな気がする」
と、お客様も興味を示されている様子。
そういえば、とお客様。
「こういう感じで、グリセリンも肌にいいって聞いたことがあるのだけれど、どれですか」
「グリセリンですか。グリセリンはこちらになりますけれども」
そういって、グリセリンのボトルを差し出すと、どうやらぴんと来ない様子のお客様。
「これが、グリセリン? こんなのだったかしら。たしか、液体じゃなかったような気がするんだけど」
「もしかしてですが、お客様のおっしゃっているものは、ワセリン、ではありませんか」
グリセリンとワセリンのちがい
私がワセリンを取り出すと、ああ、これだったかも、とお客様。
グリセリンとワセリンを勘違いされる人はよく見かけます。
「どちらもひび、あかぎれにってあるけど、なにがちがうの?」
と、尋ねられたので簡単に説明します。
グリセリン
「水分を引き寄せて肌をしっとりとさせるならこちらです」
水溶性なのでいろんな化粧品に添加されているこのグリセリン。
原液を直接つけるのではなくて、濃度5%から10%程度に水で薄めて使います。
保湿を求めて使用するなら、グリセリンがいいでしょう。
ワセリン
「水を弾いて肌を保護するのならこちらです」
油性なので水に溶けない性質なのがこのワセリンです。
粘膜や肌の保護に使い、一度で長時間保つことができます。
鼻の下に塗ると花粉症を予防できると話題になったのがこちらです。
肌の保護を求めて使用するのなら、こちらのワセリンがいいでしょう。
お客様の選択
「どれもよさそうだけれど、一番最初に教えてくれたのがよさそうだから、この軟膏にしてみます」
「ありがとうございます。寝る前に軟膏を塗って、手袋をしながらおやすみすると効果的ですよ。ぜひやってみてください」
ありがとう、やってみます。
そう言ってお客様は軟膏と手袋を手にレジへ向かわれました。
最近はアルコール消毒で手荒れに悩むお客様も多くいらっしゃいます。
こまめな保湿などのハンドケアも大切ですね。
今日もお客様にとっていい提案ができますように~。
元気にいってらっしゃい!