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医薬品 接客

受診勧奨、でも病院へ行けないお客様の対応

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「ムズムズ症候群に効くくすりってありますか」
「ムズムズ症候群……」

尋ねられたのは30代くらいの男性のお客様。
奥様が体がかゆくて息苦しさを感じていると、ご来店されました。
おそらく、むずむず脚症候群のことをさしていると思いました。

救急に頼れず来店されたという事情

お客様は奥様の異変に救急へ電話をしたそうですが、時間も遅く、診ることができない、と受診を断られていました。
病院へは翌日、行くとして、今その症状をどうにかするためのくすりをもとめに来店されたのです。

「ちなみにむずむず症候群、は以前に病院で診断されたことがあるのでしょうか」
「いえ、ネットで調べたら、なんとなく、これなんじゃないかなと……」
「そうですか、私としても早く病院に受診されることをおすすめしたいのですが……」

お客様にはまず、むずむず脚症候群を治すくすりは置いていないことを説明します。

市販薬の役目は対症療法である

病気を「治す」のではなく、けがや病気での「症状をやわらげる」ことで、ラクにするのが「対症療法」です。
もし、お客様が本当にむずむず脚症候群だったとして、それを治すことができるお薬はお店にありません。

また、本当の原因がわからないことで、使用する必要のないお薬を使用してしまうかもしれません。
登録販売者は病気の診断をすることができません。
適切なお薬を使用するためにも、病院で症状の原因を知る必要がある、と説明しました。

「息苦しいという、呼吸の障害も出ていますし、ドラッグストアで対応できる範疇を超えていると考えますが……」
「症状をおさえることはできるんですか。すぐに受診は難しいので、少しでもラクにできないかな……」

症状についてもう少し詳しく聞いてみる

体がむずむずする、という部分で考えると……

  • 外部刺激から受ける症状
  • ストレスなど心的な原因から受ける症状

を考えました。

「からだに発疹がでたり、目に見える異変はありましたか」
「そういうものは一切出てなくて、ただ、からだがかゆい、というか、むずむずするようです。本人は更年期も気にしていていたみたいだけど……」

年齢を尋ねてみると、可能性はないわけではないけれど、まだ若い年齢です。
でも、更年期を気にされるということは、何か気持ち的な原因を考えているようです。

「症状が出たのは今夜がはじめてですか。最近生活環境や何かが変わったりはしませんでしたか」
「仕事を変えました。症状もそのくらいから出ているように思います」
「たとえばの提案なんですけど……不安定な気持ちをおさえることで、その他にある息苦しさや、むずむずするといった症状が落ち着く、ということもあるかもしれません」

お客様を、婦人薬や、漢方薬のある売場へとご案内します。

ふたつの漢方薬が目にとまる

「半夏厚朴湯と抑肝散加陳皮半夏という、気もちの面で出る症状に困っている人に使用する漢方薬があるんですけど……」

ストレスを受けたときの様子でも、どちらを選ぶかが変わると思い、かんたんに特徴を説明しました。

半夏厚朴湯

滞った「気」のめぐりをよくするのがこの半夏厚朴湯。
のどがつかえたような異物感があったり、緊張を感じたときについ咳払いをしてしまうような反応がある人に向いています。
どちらかというとストレスを受けると不安に感じて気持ちがふさいじゃうようなタイプの人はこちら。

抑肝散加陳皮半夏

不足した「血」を補い「気」をめぐらせようとするのが抑肝散加陳皮半夏。
抑肝散に陳皮・半夏が加わっているので、こちらものどの異物感を改善することができます。
鎮静作用があって、自律神経の興奮を鎮めることができるから、ストレスを受けると発散方法がわからずいらいらしたりするタイプの人はこちら。

受診を前提にお客様に選んでいただく

お客様の奥様は、どちらかというと気分がふさいでしまうような状態だということで、最終的に半夏厚朴湯を購入すると決められました。

漢方薬なので、食前または食間の、おなかが空いているときに飲むものと説明。
これから飲まれるのであれば、食事後2時間は経過している状態であるか、寝る30分前にでも飲んで、明日からは忘れないタイミングで用法を守って飲んでいただくようアドバイスしました。

とにかく日が明けたら必ず病院へ行くことを念押し。
お客様の奥様の症状が少しでも和らぎますように。

できない、わからないと答える誠実さも必要

今回はお薬を選ぶ対応をしてしまいましたが……
本当はもっと強く病院をすすめるべきだったと反省している接客です。

もし症状が急変し、病院の受診が遅れたことで何かが起きてしまったとしたら、取り返しがつかないこと。
もっと、お客様の不安をあおるべきだったのではとさえ思います。

相談に来る人たちのためには、自分のできる領域というものを理解して、それ以上のキャパシティのものは、きちんとお詫びをし、しかるべき専門家にお任せするという姿勢を見せる必要もあります。
いちばんはお客様の安全を考えること。

お客様の奥様がどうか無事に受診されていますように。

今日も一日がんばりましょう。

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