10代の女性のお客様が、お母さんと一緒に来店されました。
「口元をぶつけたんですけど、唇の裏が傷になってしまって」
とお母さん。
「ああ……それは痛いですね」
「今は傷が白くなっていて、痛いみたいなんですけど、これは口内炎のくすりを塗ればいいんですか」
物理的な刺激でできてしまった傷。
どんなお薬を選べばいいのでしょう。
目次
口内炎の種類は4つある
口内炎の種類は大きく分けて4つあります。
- アフタ性 (免疫力低下などによる)
- カタル性 (物理的な刺激などによる)
- ヘルペス性 (ヘルペスウイルスによる)
- カンジダ性 (カンジダの異常増殖による)
この中で最も一般的で多くみられるのはアフタ性口内炎になります。
円形、楕円形の白っぽい潰瘍になるのがそれです。
「唇をぶつけてできた傷」は口内炎でいい
「うかがった様子だと、お客様の傷は口内炎でいいと思いますよ」
原因も明確なので、外用薬などで治療することが可能です。
一般的な市販の口内炎薬を使ってみることをおすすめしました。
口内炎薬を選んでみた
「口内炎のお薬もタイプが分かれます。大きく3つなんですけど……」
- 軟膏などの「塗る」お薬
- パッチなどの「貼る」お薬
- 炎症止めなどが配合された「飲む」お薬
お客様は「塗る」タイプをご希望でしたので、そこからさらに2パターンを提案しました。
ステロイド外用薬
「炎症を鎮めるのにすぐれた、ステロイド入りの軟膏です。短期間で腫れや痛みをおさえることができるのでおすすめします」
今回のお客様は、炎症の原因も明らかなため、トリアムシノロンアセトニドの外用薬をまっ先におすすめ。
「ステロイドって、強い薬、ということですか?」
「このステロイド剤は、ステロイドの中でも中程度で、比較的弱いランクのものになりますが、炎症をおさえる効果としては市販の中でも十分あります」
念のため、ステロイド剤をはじめ薬剤で具合が悪くなったことがないかも尋ねましたが、思い当たらないとのこと。
「炎症をおさえれば、いっしょに痛みも和らいでいくはずですので、選択肢としてはかなり有効ですよ」
ステロイドのない外用薬とビタミン剤
ステロイド剤に抵抗を感じている様子だったのでもう一つ提案しました。
「殺菌成分や、組織を修復する成分で構成されたお薬です。ステロイドは入っていませんので、比較的効果は穏やかだと思います。もちろんこちらでも効果は感じられる可能性はあります」
加えて、内服のビタミン剤を飲んでみることをおすすめしてみました。
「とくにビタミンB2が、粘膜を再生してくれる役割のビタミン剤になります。意識して摂取することで、治りも早まるかもしれません」
口内炎軟膏の塗り方
お客様はステロイドなしの軟膏とビタミン剤の併用を選ばれました。
「この軟膏ってどんなふうに塗ればいいんでしょうか?」
「はい、こちらの軟膏は1日2回~4回のタイミングで塗ってください。塗るときの注意点としては」
- 塗る場所の唾液をよくふき取ってから塗る
- 塗ってから30分くらいは食べ物や飲み物は控える
「……このへんを意識していただければ、より効果的に塗れるのではないかなと思いますよ」
口内炎の治癒を早める対策
お薬以外にも、口内炎の治りをよくするかもしれない方法があります。
- 唾液を増やす
- ビタミンB2をとる
- 規則正しい生活をする
- 洗口液などで口をゆすぐ
順番に解説します~。
唾液を増やす
元々唾液が減少して、乾燥した口の中は口内炎ができやすいです。
食事のときによく噛んだり、飴やガムなどを活用して、唾液を分泌させてみるといいです。
ビタミンB2をとる
ビタミン剤でも摂れますが、食事からも得ることができる栄養です。
うなぎやレバー、魚の皮などに豊富に含まれているので、食事のメニューを考えてみてもいいですね。
規則正しい生活をする
免疫力の低下が、最も口内炎のできやすくなる要因です。
睡眠不足や疲れをためたままにすることがないようにしたいです。
洗口液などで口をゆすぐ
口の中を清潔に保つことも重要な対策のひとつです。
正しいブラッシングやうがいも心がけておきたいです。
口内炎ってひとつでもあるとつらい
「お食事とかもしみたりして大変だと思いますけど……しっかり対策すれば大丈夫ですよ。早く治るといいですね」
「はい、いろいろ教えていただきありがとうございます」
そういってお二人はお薬を手に帰られました。
口内炎って、ひとつでもあると食事もおいしく取れないし、ひどいとしゃべるのもつらいしでいいことないですよね。
ぶつけた、など原因がはっきりしている口内炎を早く治すには、まずはステロイド剤がおすすめです。
もう、とっとと治しておいしいごはんを食べましょう!
それでは、今日も元気にいってらっしゃい~。