「ビタミンB12が摂れるくすりを探しているんだけど、どれがいいのかしら」
と、声をかけてきたのは高齢の女性のお客様。
ご夫婦で来店されていて、ご主人が飲まれるお薬をお探しのようです。
目次
どんな症状でお悩みか聞いてみる
「ビタミンB12はどんな目的で使用されますか。今何か困っている症状はあるんでしょうか」
「症状とかは聞いていないんだけど……テレビでビタミンB12が体にいいって言っていたみたいで、探しに来たのよ」
ビタミン剤売場へ行くと、お薬をお探しのご主人がいらっしゃいました。
同じように、何か困っているのかを尋ねると「テレビでやっていたから」という答え、です。
ビタミンB12の特徴を説明してみる
「ビタミンB12は、カンタンに言うと、傷ついた神経を修復したり、細部まで栄養を行き渡らせたりするお手伝いをする栄養です」
赤いのが特徴の一つで、目薬でもある「赤い目薬」は、ビタミンB12の赤が影響しています。
動物性食品に多くはいっている
とくに魚介類やレバーなどにたくさん入っていて、動物性食品に多く含まれているといえます。
ビタミンB12の一日の必要摂取量は、そんなにたくさんなものではありません。
ふつうの食事をしていれば自然と摂取できるくらいです。
不足を心配するのは、お肉などを一切食べないような生活をしている人など。
そうでなければ、お薬で余分にとらなくても大丈夫な栄養です。
たくさんとってもそのまま出ていくだけ
それに、ビタミンB12は水溶性ビタミンのひとつです。
一定量以上は吸収されず、お小水といっしょに出て行ってしまいます。
なので、たくさんとっても過剰摂取になることはありませんが……
お食事から必要量が摂れていれば、余分にとる必要のないものです。
こんな症状がないか説明してみる
では、もしビタミンB12が体の中で不足しているとしたら、どんなことが起きるかというと……
貧血
「悪性貧血」と呼ばれることもありますが、原因はビタミンB12や葉酸の不足と分かっています。
「鉄欠乏症貧血」と区別するための呼び名、ともいえます。
からだ全体の倦怠感や息切れ、動悸、立ちくらみなどが見られます。
末梢神経障害
細部まで栄養を行き渡らせる成分が不足、ということで、体のすみずみまで血や栄養が行き渡らないことで起こる症状が見られます。
たとえば、肩こりや手足のしびれなどがある人も、もしかしたらビタミンB12の不足で起きていることもあります。
本当に必要なのか考えてみる
お客様が、食が細く、ふだんからお肉やお魚を食べられないのであれば、ビタミンB12の不足も考えられます。
もし、説明したような症状が見られるのであれば……
ビタミンB12単剤、ではなく、葉酸やヘプロニカートなど、より症状を改善するのを補うことに特化した成分がいっしょのビタミン剤を飲んでもいいかもしれません。
「たくさん摂って、害があるものでもなさそうですが、特に心配事がなければあまり飲む必要もないかなとは思うのですが……どうでしょう」
そう尋ねると「なんとなく疲れが取れない気がする」とお客様。
ビタミンB12であるシアノコバラミンのほか、フルスルチアミン(ビタミンB1誘導体)が主に入ったビタミン剤を紹介すると、それを手に帰られました。
テレビの影響力にふりまわされないように
「体にいいってテレビで言ってたから!」
という理由ひとつで商品を探されるお客様ってたくさんいらっしゃいます。
短時間で同じ商品を何度も問い合わせられると
「あ、なにかあったな……」
と、すぐにわかりますよね~。
そんなテレビの情報に振り回されてしまう人がいるのは、この新型ウイルスの流行で痛いほどわかりました。
それ、本当に必要?
という問いかけを、なるべくならひとりひとりに問いかけたい。
なかなかできないもどかしさがありますが、お客様たちと向き合えるよう、がんばってみます。
それでは、今日も素敵な一日になりますように~。