年配の女性のお客様に声をかけられました。
「最近、物忘れが多くて……何か、物忘れに効くくすりなんていうのはあるんですか」
目次
「物忘れ」には2パターン存在する
一般的に「物忘れ」というと……
忘れていることの自覚はある。
でも部分的な記憶が低下している、という状態。
もうひとつは、自分が「忘れている」という自覚がない。
出来事や体験の「全体」を忘れてしまっていて、生活にも支障をきたしてしまうような状態。
「認知症」はこのパターンに入ります。
「認知症の手前よね。最近、すぐ物事を忘れてしまって」
というお客様。
「たとえば最近、どんなことを忘れてしまいますか」
「物忘れ」加齢か認知症かのカンタン区別
「そうね……テレビのリモコンを、タンスの上に置いたのに、どこへ置いたかわからなくなってしまうとか。あと、知り合いに会っても、なかなか名前が思い出せなかったり」
「なるほど……でも、大丈夫です。それは、加齢などによる物忘れだと思います。認知症にはまず、あたらないでしょう」
さて、どこでそう判断したでしょう。
もし、認知症なら……
「どこへ置いたか」を忘れるのではなく「リモコンを置いたこと」を忘れてしまいます。
「知り合いの名前」が思い出せないのではなく「知り合いであること」を忘れてしまうのです。
加齢も認知症を発症する要素の一つと言われますが……
認知症を疑う物忘れは
- 出来事や体験のすべてを忘れる
- 忘れていることに気づかない
- 新しいことを覚えられない
- 日常生活に支障をきたす
など。
すべてが認知症につながるとも限りませんが、忘れたことの内容をみて、病気を疑うということも大切なことです。
生薬製剤「オンジ」による物忘れ改善
「加齢による物忘れには、オンジ、という生薬が市販では販売されています」
と、漢方薬売場にお客様をご案内。
「こちら、元々は気持ちを安らかにするタイプの生薬と言われています。五臓の「心」の栄養状態をよくすることで、精神が安定して知恵も増すんですよ」
「くすりはこれしかないの?」
「健康食品にもイチョウ葉などを扱うものもありますが、医薬品となるとやはりオンジになりますね。お客様のように、記憶の一部が低下している場合の物忘れに使用できます」
オンジの大きな注意点がひとつ。
それは、認知症の診断を受けた人、認知症の疑いがある人は「使用してはいけない」こと。
オンジは決して、認知症を予防するためのお薬ではないのです。
認知症を疑う場合は、治療の機会の遅れの原因になってしまう可能性もあるため、オンジに頼らず病院で相談するのがいいことを伝えました。
くすり以外にも「物忘れ」予防方法がある!
「くすりを飲む以外にも、日頃から物忘れの防止になる生活習慣をしてみるのもいいですよ」
からだを動かしたり、脳を刺激したりするのが、認知症などの予防にもつながります。
家族の誰かと、散歩やウォーキングをしながら、しりとりをしたり、数字を100から3ずつ引きあってみたり……
ひとりで続けるより、家族などの協力があるといいかもしれませんね。
日々の変化にいち早く気がついてもらうこともできます。
認知症を疑ったら相談できるところもある!
「今はまだ加齢による物忘れの可能性が高いので安心ですが……もし今後、出来事自体を忘れてしまったり、忘れていることさえわからなくなるようなことがあったりしたら、病院で相談してみてくださいね」
精神科や神経科などの病院や、物忘れ外来がある病院はもちろん、まずはかかりつけの内科などでも相談しても、他の病院を紹介していただけると思います。
また、病院でなくても、市区町村の福祉課などの窓口でも相談できるところがあるので利用するといいでしょう。
日々変化に気づくこと、気づいてあげられることが大切
「まずはこのオンジが、お守りになってくれたらいいですね。何か困ったことがあったら、私に声をかけてくださっても、相談にのりますよ」
「とりあえず、飲んでみます。どうもありがとう」
お客様は、オンジを手にレジへ向かわれました。
もし、認知症になってしまった時は、もしかしたらご本人では気づくことができないことがあるかもしれません。
その時のためにも、周りが気にして見守ることも必要なのかもしれません。
たとえば、いつもお買い物に来るお客様の様子が違う気がする……
ということも、今後あるかもしれません。
そういう時に、自分がどれだけ力になることができるか、と時々考えたりもします。
誰かのお役に立つことができますように。
今日も元気にいってらっしゃい〜。