ある軟膏を手にした60代くらいの男性。
「ちょっと聞きたいんだけど」
と声をかけられたので、話を聞いてみました。
「これをあかぎれに塗って使っているんだけど」
「はい」
「ここに、ただれ、かぶれには使用しないって書いてあるでしょ」
「はい」
「塗っていると皮膚がゆるくなるんだけど、これは、かぶれなの?」
「ああ、かぶれとは、ということですね」
「そう」
軟膏を手に、パッケージを確認。
たしかにしてはいけないことの、次の部位には使用しないのところに「ただれ、かゆみ」と記載されていました。
「塗って皮膚がゆるくなったとき、かゆみは感じますか」
「かゆくはないね」
「でしたら、それは皮膚がゆるくなっているだけです。かぶれは、かゆみを伴う湿疹のことを言いますから、そちらはかぶれではないと思いますよ」
「じゃあ、塗っていても大丈夫なんだね」
再びパッケージを確認。
効能に「あかぎれ」とあるので、使用するのは問題ありません。
「はい。あかぎれに軟膏を塗るというのは、効果的でいいことですよ。特に夜寝る前に塗って、手袋なんかをはめてお休みになるといいんですけどね」
「そうなんだね」
「ひとつお薬としての説明をさせていただくと、こちらの軟膏、有効成分は殺菌消毒をする成分たったひとつなのです。皮膚の組織を修復したり、痛みを取ったりするわけではないのですが、添加物にグリセリンやオリブ油、ワセリンなどが使われているので、保湿効果には優れているのだと思います」
「殺菌しかしてくれないんだね」
「そうです。あかぎれの傷を治すのであれば、あかぎれの治療薬も市販にはありますが、あかぎれには日頃の保湿も大切ですから、予防のためにもこちらの軟膏を毎日塗るというのは、決して間違いではございません」
「じゃあ、とりあえずこれをまた買っていくよ」
「ありがとうございます」
ご説明した軟膏剤は、皮膚トラブルの万能薬のように使われている有名軟膏で……
特に年配のお客様に人気のように思われます。
有効成分が殺菌消毒のものしかないというのは、あまり知られていないみたいですね。
でも、保湿にも優れていそうなので、あかぎれを治療したいより予防をしたい人にはいいかもしれないです。
何にでもこのお薬使われているので、お客様のお話を聞きながら、もっといい方法があれば提案してあげられたらと思います。
今日も一日がんばりましょう。