お盆も過ぎ、夏休みも残りわずかとなりました。
学生のみなさん、宿題は残っていませんか〜。
あの頃、小学生だった私は、自由研究に勤しんでいました。
いろんな液体が、酸性か、アルカリ性かを調べるために「リトマス試験紙」が必要でした。
リトマス試験紙を買いにドラッグストアへ
リトマス試験紙なんて、学校の授業で見たことがあるくらいで……
自分で買ったことなんて、そのときは一度もありませんでした。
でも、小学生ながら、なんとなく「おくすりやさん」にあるような気がしました。
当時はまだ、全国チェーンのドラッグストアなんていうのは山梨にはなく……
地元の企業が営む薬局、薬店がしのぎを削りあっていました。
なので、私は中でも品揃えが豊富そうな、隣町の中学がある地域のドラッグストアへ自転車を走らせました。
近所のスーパーへおつかいへ行くことはあっても、遠くのドラッグストアまでわざわざ行くのは初めてです。
ドラッグストアの店員さんへ声をかけた私
真夏の暑い中、自転車を走らせドラッグストアに到着した私。
店内をくまなく見渡しますが、リトマス試験紙の棚がどこにもありません。
意を決して、店員さんに尋ねてみることにしました。
店員さんは、カウンターの向こう側、薬の棚があるところに立っていました。
すみません、リトマス紙って置いてませんか。
そう、白衣を着た人に尋ねると、その人は後ろを向き、小さな引き出しをそっと開けました。
赤と青のリトマス試験紙はそこにありました。
赤いリトマス紙と、青いリトマス紙は別々に存在していて……
その両方が私の前に差し出されました。
それがなんだかとっても、特別なもののように思えた私。
どきどきしながら「両方ください」と言って、リトマス試験紙を買って帰りました。
箱の中にはとても短い夏休みの自由研究では使いきれないくらいの紙が入っていました。
その夏、液体のアルカリ性か酸性かを調べて、どんな研究をしたのかは全く思い出せないけれど……
「リトマス試験紙を買いに行った」という思い出だけが、私の中に残っています。
いま、そのドラッグストアの店舗はないけれど
地元で競い合っていた薬局、薬店の多くは、いつの間にか全国チェーンのドラッグストアの名前になり、姿を消していきました。
山梨も多くのドラッグストアチェーン店が、軒並み新店をオープンし、次々と初進出を果たしています。
私がリトマス試験紙を買ったそのドラッグストアの店舗は、別の建物に移転し、別のお店が入っているため、残っていません。
そんな私は今、そのドラッグストアを営む会社の社員として、お店に立ち、働いています。
誰かにとって特別な思い出のあるお店ってすてき
働いてみれば、それはそれなりにいろいろあるものですが……
お店でのお買い物って、日常だけど、誰かにとっては思い出の断片になりうるんだと思います。
いい思い出ばかりじゃないかもだけど、なるべくよくすることは、きっとわれわれにもできるかもしれなくて。
たまに私みたいな子どももいたりするかもしれない、というお話です。
まあ、今はリトマス試験紙も、カウンター越しの引き出しの中じゃなくて、ちゃんと売場に並んでいるんですけどね〜。
そんな思い出話から、今日は1日をはじめてみました。
さあ、今日も元気にいってらっしゃい〜!