あたたかくなってくるとそろそろ増えてくるのが……
「水虫」のご相談。
男性がよくなるイメージがあるかもしれませんが……
実は女性からのご相談も多いのです。
30代くらいの若い女性から、皮膚薬売場で声をかけられたときの話です。
水虫のお薬の扱い方って、私たち登録販売者でも……
ちょっと難しい〜と思う場面もあるので、お客様もよく知らないことが多いのです。
目次
病院へ行くのは恥ずかしいしとにかく今何とかしたい
水虫のお薬をお求めのお客様に最初に聞くのは……
「水虫かどうか、病院で診断されたことはありますか」
水虫の診断がされたことのない人には、基本的には受診勧奨。
水虫だと思ってやってくる人の3人に1人は水虫でないということも聞いたことがあります。
このお客様にも尋ねたところ、病院には行っていないようでした。
でも、自分が水虫である心当たりがあるようでした……
- 最近まで靴下を履いたまま寝ていた
- 薬指と小指の間がじゅくじゅくして痒い
- 不特定多数が裸足の温泉施設によく行く
もちろん、これでもって私たちが「水虫」と診断できるわけではないし……
病院をすすめることに変わりはないのですが……
来店時間は夕方以降、平日の日中はお仕事でなかなか病院にも行けないし……
そもそも病院へ行くことに抵抗を感じている様子。
でも、痒い。なんとかしたい。
こういうお客様は、実際多いのです。
そういうとき、私は
- 白癬菌に感染しているかがわからなければ水虫かもわからないこと
- 水虫薬を2週間以上使っても改善されない場合は他の原因が考えられること
- 病院へ行ったとき水虫薬を使っていると正しく診断されない可能性があること
などをお話ししつつ、お薬を紹介することもあります。
あとは、お客様のご判断に委ねています。
症状が出ている部分にだけ塗ればいいんでしょ
私がまずさしだしたのは、有効成分「テルビナフィン」単剤の塗り薬(クリーム)
1日1回の塗布でいい抗真菌薬で、病院でもまあ選択肢になる処方薬と聞いたこともあります。
1日2〜3回の抗真菌薬は、登場が古いお薬で、あまり私の中で選択肢に入れることはないのと……
いろいろな成分が入っている薬も、特別にひどい症状がない段階であればあまり選びません。
このお客様は、もし水虫なのだとしたらまだ初期段階だろうと判断しました。
「お風呂上がりの清潔なときが塗りやすいかもですが、ぜひ足全体に塗ってください」
「薬指と小指の間しかふやけている感じがしませんけど……」
このお客様、同居する家族はいませんが、日帰り温泉をよく利用すると言っていました。
もし、そこから白癬菌をもらってきているのだとしたら……
同じものを両足で踏んでいれば、当然両足に白癬菌は付着します。
「片足の、この部分だけ」水虫になるとは考えられない。
だから、水虫薬を塗るときには、たとえ症状が出ていなくても……
- 指の間、まわり
- 足の裏、側面
- くるぶし
の方までしっかり塗っていただく必要があるのです。
症状が治まってきたしもう塗らなくても大丈夫かな
「もし、水虫だった場合、お薬を塗っているとだんだん改善が見られてくると思いますが、それでも薬は塗り続けていただきたいです」
改善が見られるということは、足に潜む白癬菌が減ってきていると考えられます。
でも、白癬菌がそこにいる限り、増えればまた症状がぶり返します。
水虫治療のゴールは白癬菌の完全退治。
それには、最低1ヶ月はお薬を塗り続ける必要があると言われています。
「そんなに塗らなきゃいけないんですか」
「そうですね、1ヶ月から2ヶ月は塗っていていただきたいです」
私が提案したお薬、毎日1回足全体に満遍なく塗り続けていると……
だいたい1週間から10日ほどで、1本使い切れると思います。
これを、最低でも3回以上は買い続ける必要があるということです。
「それを考えてみても、おそらく、病院へ行かれたほうがコストはかからないんですよね」
お客様は私の言葉に「う〜ん」と唸りましたが……
けっきょくそのお薬を持って、レジへと向かっていきました。
いざという時の市販薬だけど正しく使い続けられてこそ
なんらかの理由で病院へは行きにくい、今なんとかしたい。
そういうお客様にとってドラッグストアのお薬というのは……
たいへん便利ですし、藁にもすがる思いの人もいるかもしれません。
しかし気軽に手にできるお薬でも……
正しく使用しなければ十分な効果は得られないのです。
受診勧奨は、けっしてこちらが匙を投げているのではなく……
適した治療の道を示しているのだと、わかっていただきたいなと思うのでした。
今日も元気にいってらっしゃい〜!