「目が充血するんですけど、なにかいい目薬ありますか」
という40代くらいの女性のお客様。
見ると左目だけが赤く充血しています。
かゆみや痛みは、と聞くと、特にないといいます。
たまにこういうことが起こるようで、本人は、血圧が上がったのかもと言いますが……。
「充血で眼科さんにかかったことはないのですね」
「ありません」
「そうですか。他に気になる症状はありませんか」
「少し目やにが出るのが気になります」
「何度かそういうことが起きるとおっしゃいますが、どんな時に起きやすいか、共通する時間や出来事はありますか」
「夜なんですけど、耳鳴りがするんです」
「耳鳴り、ですか」
「家に帰ってきてしばらくしてると、キーンと耳鳴りがして、ああ、嫌だなと思って寝るんです。すると、朝に鏡を見た時に(充血に気づく)」
充血に目やにだから結膜炎も考えられます。
でも痛くもかゆくもないといいます。
耳鳴りとの関係性は。
片目だけの充血ってなんだろう。
疲れでこういう症状って出るのかな。
繰り返し起きているということは、治ることもあると考えていいのだろうか。
4つの目薬を取り出し「本来、原因の分からない症状に関してはまずは病院の受診をおすすめしますが」と前置きして説明しました。
抗菌目薬
ものもらい、結膜炎に使う目薬です。
充血した目から目やにも出るという症状だけ見たら考えられるものでもあります。
ただし、市販薬の抗菌目薬は、ブドウ球菌によって起きる症状にしか効果はありません。
他の菌やウイルスが原因の場合は病院で処方されるお薬でないと治療は難しいです。
一般的な疲れ目、充血が効能にある目薬
血管収縮剤が目の充血をおさえる他に、目の炎症をおさえる成分や、傷ついた神経を修復するビタミンB12が入っている赤い目薬です。
視界がぼやけたりピントを合わせるのが大変なときはありませんか。
疲れによって起きている充血なら、こちらの方が適しているでしょう。
抗炎症成分配合の目やにをおさえる目薬
目やにができるのは涙の分泌量が減ることも原因のひとつにあります。
涙が減ると菌やほこりを排除できなくて、目が炎症を起こすこともあります。
なので涙の成分を補いつつ、炎症をおさえることに特化した、目やにに困っている人向けの目薬がこちらです。
炎症を起こしていて起きている充血なら、目やにもおさえながら充血もおさえることができると思います。
寝る前にさしてもOKな目薬
夜に感じた疲れが朝に影響しているのであれば、寝ている間に目に受けたダメージを修復することで、朝の症状が軽減できるのではないかと思い、こちらも選択肢にいれました。
目のダメージの修復と、うるおいを補うのが特徴の目薬です。
説明が終わるとお客様は「どれが一番いいんですか」と尋ねられました。
「それはわかりません」と、私。
「原因がわかりませんので、アプローチの仕方を間違えていれば効きません。本来なら一番に病院へ行くことをおすすめするところです」
お客様の判断に委ねますが、考えられた末、疲れ目の赤い目薬を選ばれました。
「しばらくさしていてあまり効果を感じないようであれば、必ず病院へ行ってください。原因がわかるだけでも安心できますし、耳鳴りも心配なので」
お客様は、ありがとうと言って帰られました。
本当は眼科にかかることを選んでほしかったところですけど。
場合によっては、眼科の内容ではないのかもしれません。
なまじ選択肢を与えすぎてしまったのがいけなかったかなと、今になって思います。
いずれにしても、このお客様の悩みが解決されることを祈ります。
今日も一日がんばりましょう。