60代くらいの女性のお客様。
手が荒れるということでお薬をお探しでした。
「湿疹? みたいになっちゃって、何か塗り薬を塗るのがいいのかしら」
見るとかなりカサカサと、湿疹のような手荒れにも見えます。
乾燥かな、水仕事が多いのかな、とお聞きしようと思っていると、お客様が手荒れの心当たりを教えてくださいました。
目次
手荒れの原因を聞いてみた
「元々液体の石けんを使っていたんだけど、新型ウイルスの流行でその石けんがなかなかお店に入らなくて。それで別のものに変えて使っていたのよ」
「別メーカーのもの、ということですか」
「ううん、同じ種類の、固形のものを使っていたの」
お客様は、元々液体の薬用石けんをご使用していたのですが、同シリーズの固形石けんに変更したところ、手荒れが発生したといいます。
「石けんを変えてからすぐに手は荒れましたか。いつからそういった症状が見られるのでしょう」
「いつからかは正確にはわからないけれど、石けんを変える前はこんなことは起きなかったの。他に何か変えたこともないし」
「アルコール消毒はされますか」
「アルコールはね、そんなに頻繁に使わないの」
- 液体石けんから固形石けんを使用するようになった
- アルコール消毒はめったにしない
というお客様。
手荒れに悩まれたこと自体そんなになさそうです。
さて、どうしましょう。
いくつかお薬を提案してみた
見た目にはけっこう荒れているように感じたので、かゆみがあるかと尋ねてみると……
「かゆみはないのよ。ただカサカサしていて、でもこんなことはなかったわ」
見た目ほどのひどさではないのか、かゆみもないとなると、ステロイドのくすりまでとはいかないような気がします。
ジフェンヒドラミン単剤の軟膏
「湿疹や皮膚炎のもとになる原因のはたらきを鎮める成分が一つだけ入っているお薬です。広く皮膚薬に使われる成分で、ステロイドを使うほどでなくても、すぐれた効果は出ると思われます」
クリームではなく軟膏であるのも、皮膚を保護する役割として有効に働くかと考えました。
ただ、かゆみがない湿疹のため、かゆみ止めの恩恵があまりないかな、という考えもありました。
ということで、もう一つ。
おむつかぶれにも使える軟膏
「さっきのジフェンヒドラミンの他に、皮膚を保護して回復を助けてくれる成分が入っています。酸化亜鉛とか、ビタミンAとかがそれです」
ちなみに塗ったときに白くなるのは酸化亜鉛の影響。
赤ちゃんのような肌の弱い人にも使用できます。
「かゆみがないということなので、皮膚の回復をメインに考えると、こういう軟膏もいいのかなと思います。カサカサしている肌だけじゃなくて、じゅくじゅくした患部にも使用できるようですね」
肌の回復、という点を考えて、あと一つ紹介してみました。
ひび・あかぎれ治療の軟膏
「こちらは荒れた患部の組織を直接修復するタイプの成分が入っています。ひび、あかぎれの他に、実はしもやけも効能にあるんです」
ただ、湿疹が効能にないので大々的に提案はしませんでした。
血行を促進して、肌を修復するという点に注目してみました。
お薬以外の対策も提案してみた
同シリーズの石けんを使用しているとはいえ、手荒れの原因にならないとは言い切れません。
「まず、今使用している石けんを使うのをしばらくやめていただいたほうがいいですね。それで手荒れが改善すれば、原因が明確になります」
この時期の手荒れはほんと〜にいろいろです。
アルコール消毒による手荒れは、この感染症流行で何件も相談がありました。
石けんや髪染めなどの付着による肌荒れももちろんあります。
そして、この冬の季節、もっとも多いと思われる相談は、ずばり「乾燥」です。
お客様に尋ねてみると、ハンドクリームなどの使用はしていないとのこと。
「この時期の肌荒れの防止策としてはとにかく『保湿』あるのみです。こまめにハンドクリームやボディクリームを塗り直すのも、カサカサ肌を防止する手段です」
ということで、お客様には最終的に
- 石けんの使用をやめること
- こまめに保湿を心がけること
をアドバイスさせていただきました。
お客様に選択していただいた
結局、お客様はかゆみがないからということでくすりの購入に至らず……
石けんの使用を中止した上で、保湿のためにハンドクリームを一つ購入しました。
改善されないようなら皮膚科の相談も視野に入れることを助言させていただき、お帰りになりました。
肌荒れ一つにもいろんな原因が考えられるので、お客様一人ひとりのお話をしっかり聞いて判断したいものです。
誰かのお役に立てますように。
今日も元気にいってらっしゃい〜。