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医薬品 接客

生理痛が重い……受診勧奨しました

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娘さんの生理痛がひどく、以前すすめられたくすりがまったく効かない。
もっといいくすりを紹介してほしい、という女性のお客様が来店されました。

詳しく事情を尋ねることに。

解熱鎮痛薬の使用状況をたずねてみた

すすめられた解熱鎮痛薬を聞いてみると、イブプロフェンが主成分。
アリルイソプロピルアセチル尿素と無水カフェインも配合されている医薬品です。

生理痛の痛み止めの選択肢としては、とくに問題はありません。
ただ、イブプロフェンが娘さんに合わなかった可能性を考えました。

「イブプロフェンは、作用が出るまで少しゆっくりですけど、効果が出たらおおよそ作用が持続するタイプのお薬です。飲んだ後しばらくすると効果は感じていないようでしたか」
「いいえ、とくにくすりを飲んで、効いた、というふうには言っていませんでした」
「くすりを飲むのは、生理痛がひどい時期だけですか。2日目とか最初の頃だけ飲むけど、なかなか効かないとか」
「いいえ、生理の間はずっとです」

ずっと……
「5日あれば、5日飲んでいるということでしょうか。1日に飲む回数はいかがですか」
「毎食後必ず飲んでます、朝昼夕、3回、飲めますよね?」

たしかに、用法用量としては1日3回を限度に、間を4時間以上空けて飲むものですが……
「ちょっと飲み過ぎですね。頭痛薬の頻回利用は薬剤性の頭痛を引き起こすこともありますので、あまり推奨はできません」

ポイント

  • イブプロフェンに鎮静成分も配合された解熱鎮痛薬を服用
  • 生理の期間中は毎日毎食後必ず服用する
  • 痛みがひどく、くすりが効いている様子がない

もう少し、お話を聞いてみることにしました。

実際の生理の状況をたずねてみた

お客様の娘さんはすでに成人されているようでした。
私が重要だと思ったのは、これまでの生理と現在のとの「ちがい」です。

「生理痛は以前からひどい様子でしたか。10代の頃はいかがだったんでしょう」
「昔も痛がっていたと思いますが、くすりを慌てて買うほどではなかったと思います」
「最近とくにひどいということですか。日に日に痛みが増している様子はないでしょうか」
「いつもひどい痛がりようなので、増しているかどうかは……」

生理痛がひどく、朝ベッドから起き上がることができないこともあるといいます。

「貧血の傾向はないですか。以前よりも経血の量が増していたりとか、そういうお話はされますか」
「そこまでは聞いていません……」
「生理の前後はどうですか。始まる前や終わったあとにも痛みがあるとかは」
「それはないと思います。生理が始まると、痛がっています」

ポイント

  • 成人になってから痛みが増した
  • 朝ベッドから起き上がれないほどの痛みを感じることがある
  • その他貧血傾向や経血量の増加は不明
  • 生理前後の痛みはないと思われる

という状況がわかりました。
これらを踏まえて、私が提案したのは婦人科へ受診することです。

受診勧奨するほかないと思った

「申し訳ございませんが、ちょっと私から別のお薬を提案することはできません。婦人科を受診することをおすすめします」
「このご時世だから、本人は病院へ行きたくないと言っているんです」
「いえいえ、お客様、そんなことを言っている場合ではないかもしれませんよ」

私が危惧しているのは器質性月経困難症であること。
いわゆる子宮内膜症や、子宮筋腫ではないかということです。

「もし月経困難症であった場合、根本的な治療が必要になります。鎮痛薬を飲むことは病気を治すわけではありません」
「はい」
「鎮痛薬を飲み続けていて治療の機会を逃し続けていたら、取り返しのつかなくなることだってありますよ。月経困難症の症状には不妊もあります。娘さんが将来、妊娠したいのにできないことになってしまう可能性だってあるのです」
「そうですね……」

私は病気を診断できるわけではありません。

だからこそ、適当なくすりを選んだりするのは無責任なことです。

「一般的に、生理痛は年齢とともに軽くなる傾向があります。私の知人にも、生理が重いだけと思っていたけど、病院へ行ったら子宮筋腫だったという人、この歳になって何人かいます。決して他人事ではない身近な病気なんですよ」

どうか、娘さんにご自身の体を一番に考えて、病院へ行くことをお話しください。
そう私がいうと、わかりました、とお客様。
くすりは何も買わずにお帰りになりました。

つらい生理痛は我慢しないでほしい

ポイント

  • 生理痛が強い
  • 生理前から痛みがある
  • 生理痛がだんだん強くなってきている
  • 経血量が増えたり血のかたまりが出る
  • 生理の期間が長い

などなど……
思春期の女性よりも大人の女性がなりやすいとされる器質性月経困難症の特徴の一部。

けっしてお客様を脅かすつもりはないのですが……
こうした可能性を伝えること、病院への受診をすすめることは私たちの大切な仕事だと思います。

たとえ、そうでなかったとしても、そうでなかったという「安心」が得られるように。
治療の遅れにならないように、最善を尽くせればいいなと思います。

お客様の健康の支えになれますように。
今日も元気にいってらっしゃい〜。

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