2021年、夏。
おそらく今、多くのドラッグストアでは同じような出来事が起きていることでしょう。
ざっくり言うと「ある事柄の影響であるものが集中的に求められている」状況ではないでしょうか。
1日に何人ものお客様に問い合わせを受けるけれど、残念ながら十分な在庫はもうありません……
でも、お客様からお話を聞く限り、大抵の人はとくにその商品でなくても通用することがありました。
なので私は、そういったお客様がお見えになった場合注力しているのが……
「いかに最初の目的が達成されずとも、正しい知識を得られ納得して帰っていただけるか」
という部分。
とくに「正しい知識」をこの機会にお伝えできればいいなと思っています。
先日、接客したお客様から言われたのは……
「このお薬を事前に飲んでおくと、その後起きるかもしれない悪い症状が起きなくなる、と言われた」
という内容のこと。
結論からして、そんなことはないです。
今日は、意外と一般に知られていない「市販薬の仕組みや役割」などについて、カンタンに書いていきたいと思います。
目次
意外と知られていない「市販薬」ってそもそもこういうもの!
そもそも一般用医薬品、市販薬というものはどういう役割のお薬なんでしょう。
実はあんまり知られてなくて、でも重要な認識をこの記事では3つご紹介します。
それはこちら! 市販薬とは……
- 病気を治すためのものではない
- 病気を予防するためのものではない
- いい反応もあれば悪い反応もあるもの
です。
順番にいってみよう。
病気を治すためのものではない
たとえば、かぜ薬を飲んで「熱が下がった!」「鼻水がとまった!」というのは、病気が治っているわけではありません。
「対症療法」という、いま目に見えて現れている症状を和らげてつらさを減らす治療方法になります。
かぜを治すのは自分の免疫!
くすりを飲んで、つらさを和らげたら……「栄養とってゆっくり寝て休む」これが回復の近道です。
くすりを飲んで症状が改善されて「あ、治った!」と言って無理をするのが一番よくない。
ただ、どうしてもつらいのに、我慢してくすりを飲まない人もいる。
これも、あんまりいいとは言えません。
我慢できないくらい苦しいのが続くと、ストレスにもなるし、疲れちゃいます。
ゆっくり休むにも休めないので、お薬に頼ってラクになるのであれば、頼るところは頼ったほうがいいですね。
どんなくすりを飲めばいいかは、お店に行けば私たち登録販売者もいますので、ご相談ください。
病気を予防するためのものではない
というのは、いま現在症状に現れていないことに関してくすりを飲んでも予防にはならない、ということです。
「かぜを引くかもしれない」と言って事前にかぜ薬を飲むことはやめていただきたい。
ときどき「頭痛薬は、痛くなりそうだなと思ったときに飲むと効果が出やすいですよ」という話をします。
これは「頭痛がまったくないのに飲め」ということではないです。
頭痛を起こす人って、頭痛が起きる、痛くなるっていうのがわかるんです。
なんにも起きてないわけじゃないんです。
そのタイミングで飲むといいよ、という話なので、何もないのにくすりを飲むのは、ちがいます。
いい反応もあれば悪い反応もあるもの
たとえば、同じ頭痛薬の中でも、作用がおだやかで危険性が低いと言われている成分のものも……
万人にめちゃくちゃいいものかと言われたら、そうではありません。
作用がおだやかということは、場合によっては効果を感じにくいかもしれません。
また、ほかに飲み合わせの悪い別のお薬を飲んでいれば選択から外されます。
いつも飲んでるお薬でも体調によってはいい反応が得られないことも。
薬物アレルギーがないとも言い切れないでしょう。
くすりは異物。
リスクも兼ねています。
飲んで起きるリスクを、飲むことで得られるメリットが上回るのであれば、選択肢になることもあります。
まったくいいことしかない魔法みたいな市販薬、いやお薬というのは、存在しないでしょう。
市販薬は魔法ではない! 自分に合ったものを正しい使い方で
怖がらせるつもりはありませんが……
市販薬だから安全、おだやか、持病があっても使える、なんていうことはありません。
使い方などがちがえば、いい結果を招かないことだってあるのです。
一般用医薬品のリスク区分「第二類医薬品」は「日常生活に支障が出るほどの副作用が起こるおそれのある医薬品」です。
「第三類医薬品」にも体の変調・不調が起こりうる副作用は存在します。
自分の「いま」の状況に合った、適切なお薬を、正しい使い方で服用しましょう。
わからないことは、薬剤師や登録販売者に相談ください。
わかりやすく説明できるよう、日々勉強していきたいと思います。
今日もすてきな1日になりますように。
元気にいってらっしゃい〜!