私が勤めるドラッグストアには、薬剤師さんがいません。
資格者は登録販売者のみ、なので要指導医薬品や、第一類医薬品の陳列はありません。
登録販売者のみで営業するドラッグストアは多いことと思います。
そんな状況において、ぜったいと言えるほどやってくる関門があります。
それは、お客様からの「ロキソニンありますか」という問い合わせ。
貼付剤などの外用薬は登録販売者でも取り扱えるようになりましたが……
飲み薬である解熱鎮痛薬はいまだ第一類医薬品。
薬剤師のみが取り扱える分類の医薬品です。
今日はこの「ロキソニンありますか」というお客様からの問い合わせに、登録販売者はどう対応するべきかについて書きたいと思います。
目次
「ありません」を第一声にするのはもったいない
「ロキソニンありますか」とお客様にとっさに尋ねられ……
「ロキソニンは取り扱いがございません」「薬剤師不在の店舗のためご用意できません」
などと、ハナからロキソニンがないことをお客様にお伝えしていませんか。
ぶっちゃけ言って、それ、めちゃくちゃもったいない発言です。
考えてもみてください。
日頃、ロキソニンにこだわって使用しているお客様だったとしたら……
ロキソニンは薬剤師がいる店舗でないと販売できないことを知っている可能性があります。
ロキソニンを販売している店舗も、薬剤師が勤務している時間も、把握していないということは……
そのお客様、もしかしたら、ふだんからロキソニンを使っていないかもしれないのです。
「いつもロキソニンをご使用ですか」と聞いてみる
ということで「ロキソニンありますか」と尋ねてきたお客様に対する第一声は……
「いつもロキソニンをご使用でいらっしゃいますか」でOKです。
これによって、本当にロキソニンじゃなきゃダメなお客様なのか、別にロキソニンじゃなくても大丈夫なお客様なのかの区別が初めてつけることができます。
以下は「いつもロキソニンをご使用」なのか尋ねたあとのお客様の回答別に、その後の対応をちょっとだけ解説します。
ロキソニンを使用しているお客様への対応
とはいえ、もしかしたら本当に急にくすりが必要な状況で、手元のロキソニンを切らしてしまっていたお客様かもしれません。
たまたま目に入ったドラッグストアで、ワンチャン取り扱いがあるか尋ねてきた場合もあるでしょう。
そういう時の対応としては二通り考えられます。
ロキソニンを飲んでいます!
- ロキソニンを販売する近隣店舗を紹介する
- ロキソニンくらい効果を感じそうな別のくすりを紹介する
ロキソニンを販売する近隣店舗を紹介する
どうしてもロキソニンがいい! ロキソニンじゃなきゃいやだ!
というお客様には、すなおにロキソニンがないことをお詫びして……
できることならロキソニンを販売している近隣店舗をご紹介してさしあげるのがいいでしょう。
自分の会社の店舗に薬剤師さんがいるところが近くにあるのであれば、電話を一本入れて在庫があるかを確認したり、今からお客様が向かわれることを一報入れたりするのもいいですね。
ロキソニンくらい効果を感じそうな別のくすりを紹介する
いつもはロキソニンを飲んでいるが、背に腹は変えられない……
ひとまずこの痛みをおさえることが先決だ、というお客様には、丁寧に別のお薬を選んでさしあげるのがいいでしょう。
ちなみに私の場合ですが、ロキソニンをお求めのお客様に対しては、イブプロフェンの解熱鎮痛薬を提案することが多いです。
なぜならイブプロフェンはロキソプロフェンと化学構造が似ているお薬。
ともに抗炎症効果に優れているので炎症による痛みがひどい場合は適しているといえます。
また、作用発現時間の速さはロキソプロフェンに劣るものの、作用持続時間はイブプロフェンの方が圧倒的に長いです。
くすりが効いてくれば、長く効果を発揮するのがイブプロフェンですよ〜、と言って説明するのもありでしょう。
ロキソニンにこだわらないお客様への対応
聞いてみるとけっこう多いのがこのパターン。
「痛み止めといえばロキソニンがいいって言ってたから」
「よく病院でもらうお薬がロキソニンだったから」
「他にどんなお薬があるのか知らないから」
こんな理由で「ロキソニン」を上げてくるお客様は、実は少なくありません。
そういうお客様には、ぜひ積極的に他の解熱鎮痛薬を選択してさしあげてみましょう。
飲んだことのある解熱鎮痛薬を聞いてみる
とりあえず、解熱鎮痛薬売り場へご案内し……
「この中に飲んだことのあるお薬はありますか」と、尋ねてみてはどうでしょう。
もしかしたら「これ、飲んだことある」というのがあるかもしれません。
効いた気がするかどうかも尋ねて、あんまり効かなかったようなら、ちがう成分のお薬を提案するのもありです。
症状などを詳しく尋ねて選択肢をしぼってさしあげる
痛み止めとして飲みたいのか、発熱で飲みたいのかもまず尋ねることです。
痛み止めならどこが痛いのか、何をして、どう痛いのかなど。
発熱なら何度の熱があるのか、他に風邪のような症状は出ていないかなど。
いろいろと聞いてさしあげて、お薬を選ぶといいと思います。
胃が弱いという人ならアセトアミノフェンがいいでしょうし、喉の痛みがあるならイブプロフェンが有効かもしれません。
状況によってお薬の選択肢は変わりますから、成分の特長をよく把握しておくといいですね。
薬剤師さんがいなくても対応できることはたくさんある
もちろん、どう〜しても薬剤師さんが対応しなければならないこと、第一類医薬品じゃなきゃダメなことも少なからずありますが……
実は蓋を開けてみると、なんてことはないこともあるんです。
ロキソニンを求められたら、まずは「ふだんから使用しているのか」を確認する。
これだけで、接客の幅はぐ〜っと広がりますよ!
お客様のお役に立てますように。
今日も元気にいってらっしゃい〜!