タレントの麻木久仁子さんが登録販売者試験に合格したことを受けて、それを各種メディアが取り上げていますね。
「登録販売者」ってなんだ? と、はじめて聞いた言葉に、検索をかける人も増えているところでしょう。
東京都の試験、合格率33%を麻木さんがくぐり抜けてきたことで……
「登録販売者って、そんなに狭き門のむずかしい〜資格なのかな」
「芸能人が3ヶ月勉強しただけで合格できる資格だから簡単なのかな」
などと、想像もさまざまなことでしょう。
そこで今回の記事では「登録販売者って、ぶっちゃけ簡単なの? 難しいの?」というところを、私が勝手に白黒つけちゃいたいと思います。
この記事は、当時合格率36%の試験に一発合格し、販売従事登録を済ませてからおよそ4年半が経過する現役登録販売者の靉(あい)の目線で書いています。
目次
登録販売者は超難関ではないけれど簡単でもない
結論、登録販売者資格の取得は、決して超難関! ではありません。
ですが、簡単に誰でも取れる資格ではないし、合格してからが本当の勝負の始まりです。
どういうことなのか、これから順番に説明させていただきます。
誰でも受けられる試験だけど誰でも受からない
登録販売者試験の合格率は、受験する都道府県にもよりますが……
おおよそ20%台〜40%台の間が相場となっています。
3人いれば1人は受かるかどうかという割合、と言うと、どうでしょう。
私が受験した年の山梨県の試験では、およそ400人が受験し、145人が合格しています。
登録販売者試験の合格条件は、上から成績のいい順ではありません。
- 120点満点中7割(84点)以上得点していること
- 各章で3.5割以上(各都道府県の基準による)得点していること
これを満たすことが合格の条件です。
つまり、その年の受験者が何人いようと、自分の合否にはなんの影響もありません。
120点満点でも84点ギリギリでも同じ合格ですが、84点をとる努力はしなければなりません。
正しい勉強方法で、確実に点をおさえることができた人だけが合格できる、そういう試験です。
一人前の登録販売者になるのには条件があります
登録販売者として働くためには、試験に合格するだけではなれません。
自分の働くお店の管轄の都道府県で「販売従事登録」をする必要があります。
販売従事登録には登録手数料の他に、戸籍謄本などの必要書類の発行が必要で、そのための発行料も発生します。
受験勉強から販売従事登録までに必要な費用を書いた記事はこちらを参考にどうぞ。
一人前の登録販売者として扱われるためには、決まった時間数の実務経験をこなしている必要があります。
直近5年間のうちに2年以上の実務経験(累計1920時間以上)がある人は「管理者要件」を満たした人として扱われます。
この実務経験は、登録販売者資格を取得する以前の実務も含まれます。
実務経験を満たしていない人は「研修中」として扱われます。
「管理者」の登録販売者とちがうのは、一人で売場に立ち、くすりを販売することが許されないことです。
誰か必ず、実務経験を満たした登録販売者か、薬剤師がいなければ、店を開けることもできないのが「研修中」の登録販売者です。
登録販売者は「なってから」も勉強を続ける資格
また、登録販売者試験には、実務に直結した問題は出題されません。
つまり、接客を想定した問題も、商品名が提示された問題もないということ。
これによりどういうことが起きるかというと……
最初から上手なくすりの接客なんてできない、ということです。
つまり、この登録販売者という資格……
試験に合格したあとは、接客するための勉強を続けていかなければならないということです。
しかも、お薬の情報というのは日々更新され、変わっていくもの。
試験で覚えた知識でさえ、どんどん古くなっていきます。
わからないことはすぐに調べる、すぐに聞く。
覚えたことは、次の接客でアウトプットしていく。
この連続をこなしていける人こそ、登録販売者として働いていける人だといえます。
登録販売者の間口は広い、どんな人にもチャンスはある
ここまで、登録販売者として働くためのいろいろな条件を書き連ねてきましたが……
私が最終的に言いたいのは「興味のある人はどんどん勉強して受験してみてほしい」ということです。
私は、くすり売りの世界に入る前はテレビ番組制作の業界で働いていました。
卒業した大学も、芸術系で、まったくお薬とは関係のない世界。
それでも、今こうして登録販売者として楽しく働けているのは、この資格の奥深さや可能性をたくさん見出せているからです。
私は、登録販売者として働くことができて心から良かったと思っています。
いま、何か現状を変えたい! 新しく挑戦したいと考えているあなたは、ぜひ登録販売者試験に挑戦してみてください。
きっと世界が広がるし、人生が救われることだってあり得ますから。
たのしいお薬の世界へ踏み込んでみませんか。
それでは、今日も元気にいってらっしゃい〜!